井上尚弥の幼なじみ・山口聖矢が東日本新人王初戦突破 初回ダウンも2―1判定勝ち
◆プロボクシング 「フェニックスバトル116」▽東日本新人王ライト級(61・2キロ以下)予選4回戦 〇山口聖矢 (判定) 鈴木将斗●(16日、東京・後楽園ホール) 世界4団体スーパーバンタム級(55・3キロ以下)統一王者・井上尚弥(大橋)の幼なじみで、元Jリーガーの山口聖矢(大橋)が東日本新人王のライト級予選に出場。初戦で鈴木将斗(本多)に判定勝ちした。 戦績は30歳の山口が2勝(1KO)、21歳の本多が1勝1敗。 尚弥やWBA世界バンタム級(53・5キロ以下)王者・拓真(大橋)兄弟、兄弟の父・真吾トレーナー、いとこの浩樹(大橋)ら井上ファミリーが観客席で試合を見守る中、山口は初回、左を効かされると、いきなり連打でダウンを喫した。だが、カウント8で立ち上がるとジャブを突き、右の強打で反撃。尚弥からの「ジャブとワンツーを極めれば上に行ける」という助言を守って「徹底的に練習してきた」ワンツーでポイントを稼いだ。3回、鈴木の右ストレートにバランスを崩し、2度目のダウンかと思われたが、山口は何とか踏ん張り、最終回も積極的に前に出て攻めた。 試合は判定へ。ジャッジ1人は37―38と鈴木を支持したものの、残る2人は38―37と山口に軍配を上げた。「ナオ(尚弥)に『ガードが低い』『ワンツーをしっかり当てろ』と言われて、そこを意識した。判定は最後までドキドキでした」と山口。6日には尚弥がルイス・ネリ(メキシコ)に6回TKO勝ちした東京ドーム興行を生観戦したが、尚弥と石田匠(井岡)に判定勝ちした拓真と同じように初回にダウンを喫してしまった。だが、ネリにダウンを喫した時、「カウント8まで膝をついて休んだ」という尚弥の姿が頭にあったそうで、山口も冷静に対応。「8を数えるうちに回復していた」という。3回に相手のパンチを受けた時に手をつかずに踏ん張れたのは「サッカーで鍛えた足腰があったので」と、ここは言葉に力を込めた。 1993年、神奈川・座間市出身の山口。山梨学院高、関東学院大に進み、北信越リーグのサウルコス福井を経て、J3のSC相模原でDFとしてプレーした。井上尚弥とは幼稚園の年少組の時からの幼なじみで、2018年にSC相模原を退団後は実家の自動車整備会社に勤務しながら、井上兄弟らと一緒にトレーニングを行ってきた。2019年の英国遠征にも帯同したという。22年1月、尚弥から「やってみたら?」と提案されて大橋ジム入り。昨年8月のプロデビュー戦では、右手首に剥離骨折していた疑いがある中、初回TKO勝ちを収めた。 試合中、尚弥や真吾トレーナーの声はしっかり耳に入ってきたという。「練習から聞こえるんです。力になりました」と山口。試合後、医師の診断を終えてロッカールームに戻ると「危なかったよぉ~」と尚弥が笑顔で迎えてくれた。 「今日は倒さないといけない、と臨んだが、倒せなくて悔しかった。もっと経験を積まないと。練習からもっと突き詰めていかないと。一つ一つ勝っていけば。そのうえで優勝を狙えれば」と山口。大目標の全日本新人王に向けて、まずは第一歩を踏み出した。
報知新聞社