「女流プロ」が「プロ棋士」を目指すってどういうこと? 里見香奈さんが奨励会三段に
半年で上位2名だけがプロに
里見さんは2011年5月に編入試験を受けて合格。奨励会1級となりました。2012年には初段に昇段。現行規定で初段以上になった女性奨励会員は里見さんが初めてです。さらに昨年7月に二段、そして12月には三段に昇段と女性としての記録を塗り替えています。奨励会員になると、女流枠からプロ棋士の棋戦に参加することはできませんでしたが、奨励会三段になると竜王戦や新人王戦などで参加枠があります。 奨励会三段は約半年間をかけてリーグ戦を行い、18戦を戦って上位2名がプロ棋士になれます。里見さんは4月スタートの三段リーグから参加することになります。奨励会には年齢制限という厳しい制度があり、「満26歳の誕生日を迎える三段リーグ終了までに四段に昇段できなかった者は退会」(勝ち越した場合は延長可)という決まりがあります。里見さんは三段リーグ初参加となる4月の時点で22歳になっています。
年齢制限というハードルも
奨励会は全国の天才少年少女の集まりといわれ、22歳三段は「若い」とはいえません。羽生善治三冠や渡辺明二冠などは中学生時代に奨励会を突破、プロ棋士になっています。「26歳」という年齢制限について「男女の区別はない」(日本将棋連盟)といい、半年で2人しかプロ棋士になれないという三段リーグ突破は険しい道です。 里見女流三冠は奨励会入会前に女流枠でプロ棋士の棋戦に参加しており、20戦して4勝16敗と四段以上のプロ棋士に勝利した実績はあります。また得意の終盤能力に加え、奨励会入会後には新戦法を開拓して将棋の幅が広がったという評価も出ています。 里見さんは三段になった記者会見で「(プロ棋士になる)階段が10段とすればまだ3段目ぐらい」と話す一方、「やるからにはなりたい」とプロ棋士への意欲をみせました。女流プロと男性プロ棋士とのこれまでの対戦成績は男性の勝率が約8割で、実力差はまだ大きいといわれます。しかし、将棋は球技や格闘技などと違って男女の体格差や筋力差は関係のない頭脳ゲームであり、これまで女性のプロ棋士がいなかったのは男性と女性の競技人口の差がかなり大きかったことが一因との指摘もあります。里見さんのプロ棋士挑戦が成功すれば将棋界に女子ブームが起きるかもしれません。