「母親役でもそれぞれアプローチは違う」...ミシェル・ヨーが語るドラマ『ブラザーズ・サン』の魅力
<2023年のアカデミー主演女優賞に輝いたミシェル・ヨーが、ネットフリックスの『ブラザーズ・サン』で複雑でアブない母親役に>
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で2023年のアカデミー主演女優賞を受賞したミシェル・ヨー。「過去に深く掘り下げたり、経験したことがないと感じる役を探す」のが彼女のやり方だ。 【動画】『ブラザーズ・サン』予告編 最新作はネットフリックスの連続ドラマ『ブラザーズ・サン』。彼女が演じるアイリーン・ママ・サンは南カリフォルニアで10代の息子と静かに暮らしていた。 そこへ突然長男が台湾からやって来て、犯罪組織「トライアド」のボスだった夫が狙撃され、家族が狙われていると告げる──。 ただし、これはただの犯罪ドラマではない。アクションあり、笑いありで、「殺しや血なまぐさい描写はもちろんあるけれど、どんな物語でも核にあるのは家族」だという。 アイリーンは家族を守りながら、裏の世界に軽々とカムバックする。「一度自転車の乗り方を覚えたら、忘れないものだ」 特定の1人が主人公のドラマではないが、「もし自分がグループの年長者なら、全体の雰囲気を決めるのは自分の責任だと信じている」と語るヨーに本誌H・アラン・スコットが話を聞いた。 ◇ ◇ ◇ ──最初は物静かだけれど、やがて内に秘めた強さを見せる。そんな役を求めている? もちろん。『クレイジー・リッチ!』のエレノア、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のエヴリン、そして『ブラザーズ・サン』のアイリーン。みんな母親だけど、役作りのアプローチは全然違った。 ──アイリーンとその2人の違いは? 犠牲の感覚。新しい場所へ行くためには元の土地を離れないといけない。移民の家族なら誰でも共感できる感覚だと思う。 アイリーンの場合、息子を後に残して行くしかなかった。しかも、2人の息子のうち1人を選ぶか、2人とも選ばないかの二択だった。 ──アイリーンはいざ行動を起こすとなると、人柄に複雑さが増す。悪人ではないが、邪悪なことも平気でやる。 根っからの悪人と、成り行きでそうなるしかなかった人との違いはとても微妙。彼女は犯罪組織と殺しの世界に放り込まれたようなものだけど、もっといいやり方があるはずだと常に言おうとしていた。 ──今年の賞レースでも注目の的になりそうだ。 あれは本当に特別な経験。(昨年は)プレッシャーを感じていた。 ──どんな衣装で会場に現れるか、楽しみで仕方がない。 だから、プレッシャーをかけないでって(笑)。
H・アラン・スコット(ライター、コメディアン)