円相場の行方はFRBが左右か-日銀追加利上げの可能性は不透明
(ブルームバーグ): 日本銀行が今後の追加利上げの可能性について明確な指針を示さないままマイナス金利政策を終了したことで、円は対ドルで約34年ぶりの安値を更新するリスクがある。短期的な方向性は連邦準備制度が鍵を握っている。
日銀は19日の政策決定会合で大方の予想通り、マイナス金利政策の解除を決めた。日本の祝日である20日の取引で円は一段安となっている。日銀の利上げでも、日米の政策金利差にほとんど影響はなかった。金利差が縮小するとしても数カ月先になりそうで、トレーダーは19-20日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に公表される米金融当局者の最新の金利予測分布図(ドット・プロット)に注目している。
さらなる円安が急速に進行すれば、21日以降に日本の通貨当局者による口先介入が入る公算が大きくなる。円安は日本株への支援材料となるほか、円を資金調達通貨とするキャリートレードの人気を持続させる。ただ、日本の家計に響くインフレを招く傾向があるため、通貨安に歯止めをかけるよう求める政治的な圧力につながり得る。
ソシエテ・ジェネラルのチーフ為替ストラテジスト、キット・ジャックス氏は、「極めて短期的には、円弱気派が勢いづき、おそらく円安を押し進めるだろう」と指摘。19日の日銀利上げは長期的な円高をもたらす重要な瞬間であると見る一方で、「今のところ、勢いはドルにある」と指摘した。
日銀の政策決定後、円の下げ率は1%を超え、日本時間20日午後4時53分現在、1ドル=151ドル48銭で取引されている。2022年に記録した安値である151円95銭に接近している。対ユーロでは08年以来の安値を付けた。
円が対ユーロで約15年半ぶりの安値を更新、日銀が緩和姿勢維持
日本の新たな政策金利が0-0.1%に設定されたのに対し、米国のフェデラルファンド(FF)金利は5.25-5.5%、欧州中央銀行(ECB)の政策金利は4.5%だ。ブルームバーグがまとめた調査によれば、アナリストらは今年末時点の日銀の政策金利水準を0.1%と予想している。これはアナリストの大半が追加利上げを基本シナリオとしていないことを示唆する。ただ、日銀の利上げはまだ終わっていないとみる市場関係者も多く、不確実性の余地を生んでいる。