アイドルを卒業した高山一実、デビュー小説「トラペジウム」がアニメ映画化。夢を抱き、叶って、手放した今
乃木坂46の1期生・高山一実さんのデビュー小説をアニメーション映画化した『トラペジウム』が、5月10日(金)より公開されます。原作は、自分の力で仲間を集め、アイドルを目指す高校生を主人公にした共感性の高い物語や、現役トップアイドルが描くリアルな描写が話題を呼び、累計30万部を売り上げました。映画化にあたっては、高山さんもシナリオなど映画制作に深く関わったといいます。映画制作の裏側、そして「夢を見ること」についての考えを高山さんに聞きました。 【画像】撮り下ろし写真(高山一実)
執筆時のイメージとすり合わせて
――2018年に単行本を発売。それから6年を経て、ついにアニメ映画が公開されます。 高山一実さん(以下、高山): もう、本当に嬉しくて! 小説を発売してから1年も経たずに、映画化のお話をいただいたんですよ。それがようやく実現しました。本を書いて出版できるだけで幸せだし、それが書店に並んでたくさんの方に読んでいただけるなんて奇跡、と思ってきたのに、映画にもなるなんて信じられない気持ちです。 ――映画化にあたっては脚本や音楽、声優キャスティングなど制作に深く関わられたそうですね。 高山: 制作に入る前に、監督の篠原正寛さんが、映画化にあたって私の希望はないかと聞いてくださったんです。原作の発売から少し時間が経っていて、読者の方々から感想が届いていたので、それも反映して「こんなシーンも追加してはどうか」といったことをお話しました。また、作品中に登場する音楽についての相談や、キャストオーディションにも立ち会わせてもらいました。 アニメーションにするには、髪型や服装といったキャラクター造形から、そのシーンの場所や風景まで、具体的に決めていく必要があります。執筆時にどんなイメージを持っていたかと聞いてくださったので、丁寧にすり合わせしていきました。小説に登場する喫茶店や学校がどんな雰囲気なのか、など。具体的なイメージがある場合は、参考になるような写真をお送りしました。 ――ご自身が書いた登場人物たちが動いているのを見たときは、どんな心境でしたか。 高山: 自分が考えた世界や「こうあったらいいな」と話したことが、たくさんの方たちの手によって映像の形になっていて……本当にありがたいことだなと。この映画で初めて『トラペジウム』に触れる方も多いと思うので、どんな感想を抱いてくださるのかとドキドキする気持ちもあります。 それに、アイドル時代に応援してくださっていたファンの方々が、映画化をとても喜んでくださっているみたいなんですよ。私もアイドルオタクだったのでわかるのですが、やっぱりファンの方は「現場」に行きたいんですよね。グッズとかを身につけて。卒業以来、なかなかお呼びできる場がなかったので、ファンの方にも楽しんでいただけたらと思います。