沖縄県が米国に営業実態ない株式会社、監査請求の動議可決「事実を隠蔽しており不審しかない」
沖縄県が米ワシントン事務所を運営するため営業実態のない株式会社を米国に設立していた問題を巡り、自民党など県議会反知事派の3会派は26日の定例会本会議で、県監査委員に監査請求する動議を提出し、賛成多数で可決された。また、関連経費を含む2023年度一般会計決算は賛成少数で不認定となった。議会による監査請求と決算不認定は、いずれも1972年の本土復帰以降初めて。 【写真】沖縄県のワシントン事務所が入る建物
事務所は2015年、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対などを米側に訴える目的で開設された。当初、米政府から「政治的だ」として難色を示され、駐在職員の就労ビザを取得する方策として県全額出資の株式会社を設立。ビザの取得時、事実に反して県との雇用関係を否定する書類を提出していた。同社の存在は9年以上も議会に報告されていなかった。
地方自治法に基づく監査請求の動議は、6月の県議選で多数派となった自民、公明両党、日本維新の会が提出した。採決では、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」側が「事務所は沖縄の正確な情報を説明するなど精力的に活動している」と反対した。自民は「事実を隠蔽しており、不審しかない」と批判し、3会派の賛成多数で可決された。監査結果は事務所の存廃を巡る議論に影響しそうだ。
23年度一般会計決算も採決され、不認定となった。決算の効力に影響はないが、事務所関連経費を含む来年度予算案の審議に向け、少数与党の玉城県政は難しい対応を迫られる。