「重要拠点」指定要請撤回を 市民連絡会が市長に要請
国が有事を見据え「特定重要拠点」として新石垣空港や石垣港の機能強化を図ろうとしている件で、石垣島の平和と自然を守る市民連絡会の上原秀政共同代表らが5日、石垣市役所に中山義隆市長を訪れ、市が行った特定重要拠点の指定要請を撤回するよう要請した。中山市長は、有事や災害に対するためインフラ整備は必要と指摘。特定重要拠点の指定に理解を求め、両者の主張は平行線をたどった。 連絡会は、特定重要拠点として石垣空港や石垣港の機能が強化された場合、空港・港湾の軍事利用が進み「有事には軍事目標として真っ先に攻撃対象となる危険にさらされる」と危惧する声明文を出している。 上原共同代表は「何もなかった島に急に基地ができ、ミサイルも配備され、物騒な方向になっている。危険だ」と批判。事務局の藤井幸子さんは「空港・港湾は軍事利用ではない形での整備を求めたい。特定重要拠点の指定には慎重であってほしい」と苦言を呈した。 連絡会メンバーの西村幸吉さんは「米軍や自衛隊が空港を使わない状況をつくることが安全につながる。抑止力によって、本当にこの島は安全に暮らしていける島になるのか」と「抑止力論」を批判した。 中山市長は「新空港の滑走路はもともと2500㍍の予定だったが、事業の早期着手のため2000㍍になったので、予定通り2500㍍以上にしてほしいと国、県に要請している。軍事化の懸念については議論しないといけないが、特定重要拠点は自衛隊などの平時の利用を円滑にするもので、自衛隊が優先利用するという話ではない」と説明した。 また「能登半島地震でも道路が寸断され、空港、港湾を使って外からの補給しかできない。離島にとって空港、港湾整備は命綱だ」と強調した。 中山市長は昨年12月、防衛省と内閣府に新空港と石垣港を特定重要拠点に指定して機能強化に取り組むよう要請。国が空港、港湾を特定重要拠点として整備するには管理者の同意が必要で、新空港は県、石垣港は石垣市が管理者になっている。 中山市長は1月、竹富町、与那国町などとともに県に対し、特定重要拠点の指定を受け入れて新空港の滑走路延長などを進めるよう求めたが、県は慎重姿勢を示した。