「君たちはどう生きるか」「ゴジラ-1.0」の米アカデミー賞受賞でも、まだまだ足りない日本のアニメ・ゲーム輸出への努力
若手クリエーターにチャンスを
問題はリスクである。高齢者の個人資産など、日本国内のマネーはリスクを極端に嫌う。そうなるとリスク選好マネーは世界市場から引っ張ってくるしかない。かといって円安トレンドが支配的な現在、日本が世界からドル建ての借り入れをするのには、かつてない勇気が必要だ。 そんな中で、長年使われてきたのが複数の企業に出資してもらう「製作委員会方式」だ。一種のリスク分散のシステムである。 だが、このような保守的な方法論では、評価の確立した大家の作品ならともかく、無名の若手が大胆なプロジェクトに挑むようなケースは支えられない。そんな中で、伸び盛りのクリエーターが外資に囲い込まれる可能性が高くなっている。 官製ファンドとなると、やはり制約が気になる。かといって既存の金融機関がリスクの大きなコンテンツ産業向けにファンドを組成するなどというのは、ノウハウ的に期待はできない。 ここは、ウォール街とハリウッドで経験を得た人材を引き抜いて、民間主導のファンドを立ち上げ、しっかり日本の民族資本としてまとめ上げ、リターンも国内に残す仕掛けを考えたい。
冷泉彰彦