わたしの考える幸せにぴったり、読んだだけで一日幸せになれる文章
(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト) ※本稿は『バカ老人たちよ!』(勢古浩爾著、夕日新書)より一部抜粋し、大幅に加筆したものです。 お母さんは遠くにむかって呼ばわった。「ごはんよ、準ちゃん」。が、当の準ちゃんは… 海外はアメリカ、中国、韓国、ドイツ、フィンランドの計2840人、そして日本は2800人に、「100歳まで生きたいか」と訊いたのである(対象はいずれも20~70代の男女)。 調査したのは2023年に設立された、博報堂傘下の「100年生活者研究所」というシンクタンクである。3月20日は国連が「国際幸福デー」と定めており、その日に合わせて調査したのだという。 その結果、どうだったのか。 もう予想がつきそうだが、「とてもそう思う」「そう思う」と肯定的に回答した日本人は3割未満で、対象6カ国で最も低かったという。ついでに幸福度も最も低かった。 具体的な数字で示すと、一番高かったのはアメリカの66.7%で、次いで中国65.6%、フィンランド58.4%、韓国53.1%、ドイツ52.8%である。日本だけが50%にも届かない27.4%で、ダントツの最下位である。 出所:国際幸福デーを前に、【100年生活者調査~2024年国際比較編~】を実施 幸福度も「100歳まで生きたい」気持ちも、6カ国で日本が最下位 人生100年時代、生き方のポジティブな側面への注目が向上の鍵(PR TIMES、2024年3月18日) ■ 「人生100年時代だ」と騒いでいるのはだれか しかしこれを見ても、米中の国民は人生に対して積極的だなあ、羨ましいなあとは全然思わないのである。それに比べて、日本人はだめだなあとも思わない。それよりもアメリカと中国の数字は、かれらの能天気度を示しているのではないかとさえ思う。 そもそもの問いが粗雑で愚劣なのだ。このように訊いたというのである。「人生100年時代において、あなたは100歳まで生きたいと思いますか?」 驚いたことに、「人生100年時代」が既定の事実であるかのように書かれている。その上でいきなり、「あなたは100歳まで生きたいと思いますか?」である。 健康で元気で資産も十分ある100歳、という条件なら、ほとんどの人が「生きたい」というにちがいない。認知症や寝たきりの100歳、ならまっぴらである。それを、ただただ「100歳まで生きたいか?」って、ばかじゃないのか。