水上恒司「当時はとにかく“良い子”に見せようとしていた」デビュー当時と俳優活動を再開した今、一番変わったこととは
ヴィジュアルインタビュー誌『with』から、増刊号・新MOOKシリーズ『with BOYFRIEND』が創刊しました! 雑誌に掲載されている水上恒司さんのインタビューの一部を抜粋してお届けします。 向井理「年に一度は舞台に立ちたい」『ハリー・ポッターと呪いの子』出演後に変化したこと、舞台にしかない“魅力”とは 「本当は僕、クソガキだったんですよ。性格も全然良いと思わないし。でも、当時はとにかく〝良い子〟に見せようとしていたと思う。『みなさんに感謝です』なんて、当たり前のことしか言ってなかった。あの頃の自分に会ったら、絶対ツッコんでいると思います(笑)」 茶目っ気たっぷりの笑顔で、いきなり本音を曝け出してくれたのは俳優の水上恒司。彼が『with』の紙面にはじめて登場したのは、岡田健史としてデビューして間もない2018年11月のこと。地元の福岡から上京してまだ半年あまりの頃で、雑誌のロケは今日がはじめてなんです、と撮影現場に現れた彼は、秋晴れの青空さえ敵わないほどキラキラと澄み切った瞳でまっすぐ立っていた。19歳で超高倍率のオーディションを勝ち抜きデビュー、スーパールーキーと称賛された彼はスターダムを駆け上がり、ドラマ、映画と出演作品を重ねるたびに大人の表情を刻んでいった。そして昨年、デビュー当時から所属していた事務所を離れ本名の「水上恒司」として俳優活動を再開。だから、水上恒司としては、はじめまして。まさに彗星のように、きらきらと私たちの目の前に現れた5年前と、今。変わったこと、変わらなかったことを正面から聞いてみた。
身に付けたのは「諦観」 明らかにして、生きていく
あれから何が一番変わったのか? といきなり直球の質問を投げかけると、「自分自身の見方がすごく変わりましたね」と、まっすぐに応えてくれた。 「今も過去の自分を思い出しながらお話しさせていただいていますが、何が変わったんだろうとか、成長した部分とか、今日のこの時間だけではお伝えしきれないくらいたくさんのことがありました。そのうえで、お前は何がしたいんだ! どういう志をお前は持っているんだ! って、すごくはっきり突きつけられたように感じた期間でした」 そして、今の自分を表す一言として「諦観」という意外な言葉を口にした。その心は? 「一瞬ネガティブな言葉に聞こえるかもしれませんが、世界ってそんなに立派なものじゃないんだなぁと思ったし、でもその中でどうにか生きていくしかないと腹を括ったというか。だけど、世界はやっぱり美しくて、その美しさには限りがない、とも思える。最近、大和言葉に関する本を読んだんです。そこには『諦める』とは、〝明らかにしていく〟というのが仏教言葉としての本来の意味であると書いてあった。そういう意味で、昔の人たちにとって、〝諦める〟というのは、誰しもが目指していた境地だ、というような一文がありまして。諦めるということがネガティブな意味ではなく、色々なことに対して、こういうものなのだと自分の中で明らかにした上での生き方なんだな、と。自分の中で一回諦めたら、そのうえでさらにいろんなものが見えてくるのかもしれない、そういうことに気づけたことが、自分にとって成長と言えるかもしれませんね。言葉遣い一つにしても、使い方次第で簡単に間違った方向にいってしまうので、こうやって本を読んだりして正しく使えるように心がけています。僕自身、ちゃんと言葉を使えていればいいのですが」 水上恒司 みずかみこうし 1999年5月12日生まれ、福岡県出身。2018年、連続ドラマ『中学聖日記』(TBS系)でヒロインの相手役として俳優デビュー。『MIU404』(TBS系)、『青天を衝け』(NHK)、映画『死刑にいたる病』など。昨年9月に芸名から本名に変えて再始動。10月から連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)にヒロインの相手役として出演が決定。