南九州大学都城キャンパスで開かれた体験講座で、ポケットオルゴールを組み立てる三股町の小学生＝都城市立野町

　南九州大学子ども教育学科（都城市）の山之内幹准教授（６４）と同学科生でつくるボランティア団体「都城にこにこクラブ」は、施設で暮らす障害者や高齢者に気軽に音楽を楽しんでもらおうと、独自開発のポケットオルゴールを贈る活動を続けている。山之内さんが２０２０年１０月に始め、贈呈数は今年７月末現在で延べ１８２カ所１５７３個となった。 【写真】カプセルトイのケースを活用したポケットオルゴール

　鹿児島県内の特別支援学校に長く勤務した山之内さんは、５８歳で大学教員に転じ、特別支援教育の教材開発などに取り組む。 　ポケットオルゴールは福岡女学院大学に勤務していた時に開発した。新型コロナウイルス禍のさなか、障害児を落ち着かせるのにオルゴールの音色が有効という話をした学生から「面会制限で肉親にも会えない施設入所者に贈れるようなオルゴールは作れないか」と提案されたのがきっかけ。 　誤って落下させても、音を奏でる精密なムーブメントが壊れないよう、カバーにカプセルトイのプラスチックケースを採用。汚れた場合にも消毒が容易で、施設からは「身近で音楽が楽しめるようになった」と感謝の声が相次ぐ。１個当たり１１００円の材料費は福祉財団からの支援で賄う。 　７月下旬には、三股町の小学生らを対象に、初の製作体験講座も開いた。２３年４月に南九州大に着任した山之内さんは「都城の地でも活動の輪を広げていけたら」と話す。

　特別支援学校の教師を目指しているという同学科２年の平戸紅葉さん（２０）は「山之内先生のように、身近な素材を生かして利用者が喜んでくれる教材作りができる教師になりたい」と話した。