天皇杯準優勝のガンバ大阪、名門復活へ…昨季まで3季連続2桁順位にあえいだチームで改善された二つのバランス
サッカーJ1で昨季まで3季連続2桁順位とあえいでいたG大阪が、復活の途上にある。第104回天皇杯全日本選手権では23日の決勝に進出。神戸に0―1で敗れ、9大会ぶりのタイトル獲得はならなかったが、J1では現在4位で、残留争いに巻き込まれていたかつての姿はない。来季の躍進を予感させる戦いぶりの背景には、二つのバランスが改善されたことがある。(岡田浩幸)
一つ目は攻と守だ。昨季までは、相手の攻勢にズルズルとラインが下がっていた。今季、元日本代表DF中谷が加わり、守備陣が引き締まった。 ポヤトス体制2季目で組織化が進んだ守備を土台に、速攻か、ボールを回してじっくり攻めるかの選択にも余裕が生まれた。「もっといったれ」というサポーターが歌う定番のフレーズが示すように、G大阪と言えば攻撃的なスタイルが伝統だが、今季は安定感や粘り強さが光る。主将のFW宇佐美は「僕らは今までのガンバのどのチームとも違う顔を持っている」と語った。
二つ目は体と心。中谷やMF鈴木ら実力者が加入し、そこに下部組織出身で21歳のFW坂本らが台頭。選手層が厚くなり、主力の負担が軽減された。GK一森やMF倉田ら経験豊富なベテランが日頃から忌憚なく意見を交わし、練習から妥協のない姿勢を見せる。指揮官は選手の考えを尊重し、宇佐美は「(監督の言葉で)選手の中に疑問が生まれるんじゃないかと思ったことは、一度もない」という。 クラブ通算11個目(前身の松下電器時代を含む)となる主要タイトル獲得はならなかったが、ポヤトス監督は「選手はクラブの歴史を感じ、自分たちがその一部だと認識し、表現してくれている」と話す。今季J1は2試合を残すのみ。中谷は「(天皇杯の)負けは大きいが、J1で(上位に入り)アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を取って次につなげたい」。名門復活へ、力を込めた。