【光る君へ】道兼と道長のラストシーンは台本と異なる演出 玉置玲央、柄本佑の提案に「救われた」
道長とのラストシーンは台本と異なる演出
そんな道兼は、悲田院に行ったことが原因で疫病にかかってしまっていた。その後、見舞いに来た道長とのラストシーンは台本と異なる演出だったと撮影秘話を明かす。 「台本上は道長が見舞いに来ても、道兼が『近づくな。俺は疫病だ』と御簾(みす)越しに会話をしてそのまま去っていく流れでした。でも、佑くんが『いや、道長は入っていくよ。御簾の中に入って兄に寄り添うよ』と演出サイドとやりとりをしてくれたんです。道兼がゴホゴホ咳をしながらぐっと倒れ込むところを、道長がたまらず御簾を跳ねのけて入って背中をさすってくれるシーンを提案してくれました」 演出の中泉慧氏は「持ち帰って考えてみます」とリハーサル段階では確定しなかったが、本番でも柄本が「やっぱりどうしても俺は入っていきたいし、道長は寄り添うと思います」と再び提案。演出と話し合い、道長が御簾の中に入って道兼に寄り添うシーンに決まったという。その柄本の姿に、玉置は感動したとしみじみと語った。 「すごく道兼としてうれしくて、ありがたくて……。もちろん大石(静)先生が書いた台本通りにもやれるし、それをやった方がいい可能性もあったんです。でも、佑くんが提案して貫き通してくれたことと、道長として道兼に最後まで寄り添ってくれたことがうれしかったです。しかも道兼の転換期として、道長に救われたという思いがあったなかで寄り添ってくれたので、道兼の思いが一方的なものじゃないとわかった瞬間でもありました」 さらに道長がこれまで劇中で描かれた通り「自分という存在をぶらさず貫いてきた人物」だと評し、「長男とも違い、次男とも違い、そういうやつこそがちゃんと生き残ってることが、僕はこの『光る君へ』がすごく好きなところです。その道長がこれだけブレてきた兄に対して最後に寄り添ってくれたっていうのがすごい救われたんですよね」と魅力を熱弁すると、共演した柄本への思いも続けた。 「最期のシーンで佑くんが道長でよかったなと思ったし、今回共演できてよかったなと思いました。道兼の気持ちを分かってくれてありがとうとも思いましたし、いろんな思いが渦巻いたラスト、自分の死ぬシーンでした。カメラが止まった時に、自分も咳が止まらなくなっちゃったんですよ。それを佑くんがカメラ止まってるのにずっと背中をさすってくれて『つらいよね、つらいよね』と言ってくれたのを今でも覚えています。変な話ですけど、自分の役割とか道兼の死というものを全うできるなって思えて幸せでした」 第1回で主人公・まひろ(紫式部)の母を殺害した道兼の最期について、玉置は当初「ろくな死に方しねえなと思ってました」と振り返るが、「道兼なりの幸せというか、行きつく幸福なものを見つけて死んでいくんじゃないかなって気はしてたんですよ。物語を盛り上げるための小道具として死んでいくことはきっとなくて、第1回から重ねてきたいろんな所業があれど、きちんと納得のいく、意味のある幸せな死を迎えるんじゃないかな」と想像していた。 実際に描かれたラストシーンについて「そういうふうになったんじゃないかな」とうなずきながら、「共演者の皆様と、監督と、それこそ佑くんのおかげでそこに至れたなっていうのは、本当に感謝、感動だなと。なにかの取材の時にそのことを佑くん本人に言ったら『感動させてやったぜ』って言っていて、ちくしょうって思いましたけど」と感謝の言葉を続けた。
ENCOUNT編集部