SNSが災害時の情報インフラとして使えない理由 偽情報すら収益化する姿勢で被災地の活動に悪影響
*3 https://www.yomiuri.co.jp/national/20231004-OYT1T50142/ 収益を得るための不確実な投稿が溢れるにもかかわらず、消防、警察、自治体は対応せざるを得ない。情報インフラという社会的な位置づけがむしろ課題になっている状況がある。ソーシャルメディアは機能不全であり、被災地の活動に悪影響を及ぼしているという現実を受け止め、報じ方を変えていく必要がある。
■従来対策と取材の限界 偽・誤情報対策のための議論は、プラットフォームの対策と利用者のリテラシー向上が2本柱となっている。これは冒頭のメディアからの問い合わせにリンクしている。 対策は表現の自由への配慮があり自主規制が基本となるが、そもそもプラットフォームを運営する企業のほとんどが外資系であり実効性は乏しい。偽・誤情報対策を放棄し、陰謀論に同調することもあるエキセントリックな起業家であるイーロン・マスクが話を聞くなら苦労はない。イーロン・マスクの動きを横目にフェイスブックやGoogleの対策も後退している。
リテラシーはどうか。災害の混乱に乗じてお金を儲ける行為は問題だが、法的に規制されているわけでもなく、運営企業からペナルティを課せられるわけでもなく、外国からの投稿者にモラルの問題と言ったところで通じる可能性が低い。現実問題としてインプ稼ぎを減らす方法はない。家族や知人を心配したり、善意で情報を提供したりする人たちも投稿が増える要因だが、その人たちをリテラシー不足として批判するのも酷だ。 2022年の台風15号ではドローンで撮影された静岡県の被害状況として、生成AIで作られた偽画像がXに投稿されて拡散した。生成AIの登場により真偽の見きわめはさらに困難になっている。生成AIでは動画も作れるようになり技術の進化はとどまるところがないが、人が備えるリテラシーには限界がある。