【プリンス関西プレーオフ】古巣にプリンス昇格阻まれ....奈良ユース内野智章監督「何のために良い選手を集めたのか」
12月14日、高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2024プリンスリーグ関西 プレーオフ(参入戦)がJ-GREEN堺で行われ、プリンス初昇格を目指す奈良クラブユース (奈良)が1回戦で興國B(大阪)と対戦。3点差から1点差まで詰め寄ったものの、2-3で敗れ決定戦に進むことはできなかった。 【フォトギャラリー】興國B vs 奈良クラブユース 前半をスコアレスで折り返した奈良クラブユースだったが、後半に入るとミスからの失点が続き、0-3と一時は3点のビハインドを背負った。しかしそこからMF10川井大地(3年)とFW関口智也(2年)のトップチーム2種登録コンビの2トップにシステムを変え、反撃開始。74分にFKのこぼれに反応した川井がゴール前で押し込み1点を返すと、80分には自ら得たPKを川井がしっかり決めて1点差。それでもあと一歩のところで同点には届かず、悔しい敗戦となった。 興國サッカー部を強豪に育て上げ、昨年までチームを率いていた内野智章監督は「自分がひっかき集めた2、3年生と戦わないといけない意味がちょっとわからなかったです(笑)。何のために良い選手を集めたのかと」運命のいたずらか、自身が声を掛け、集めた選手たちにプリンス昇格を阻まれ苦笑い。 「プレッシャーがかかった時にいつも通りにできる選手がうちは少なくて、相手は全員ができる。守備もいつもなら奪えるんですけど、ひっくり返される。あんなことは奈良県リーグではない。あそこでひっくり返される経験が彼らにはないので」。プレッシャーのかかる試合の経験に差があったと試合を振り返った。 ボールを繋ぎ、相手のプレスをかわすのが奈良クラブユースの武器。しかし「興國の寄せは僕の感覚だともっと来ると思っていたんです。だから、想定内だったんですけど、自分たちが焦ってしまうのが想定外でした」。指揮官はプレーオフという舞台の雰囲気にのまれてしまったことを悔やんだ。 「こういう雰囲気で普段からやっていないところの差ですよね。彼ら(興國B)の中には選手権ベスト4で試合に出ている選手が何人もいて、もっと凄い雰囲気の中でやっている。他のJクラブはそんなことにも動じないメンタルと技術を持っている選手がいるんですけど、やっぱり奈良クラブはまだそこまでは辿り着けていない」 浮足立ってしまって自分のプレーができない。普段はもっと良いプレーができる選手たちなんです。寄せられている状況でのミスはあると思うんですけど、寄せられてない中でのミスがあったし、攻撃のところでもバタバタ感があってなかなか収まらなくて。これでもだいぶ戦えるようになったんですけど、やっぱりストレスのかかったゲームで上手くやるってことがまだできないですね」 興國Bの選手の多くは、インターハイや選手権を経験している。普段のリーグ戦とは違う一発勝負。さらに観客や応援団が作り出す雰囲気は独特で、こういう試合を経験しているかどうかが勝敗を分ける。 「そうなるためにプリンスに上がらないといけないんですけどね。それは奈良クラブがひとつずつステージを上げていくしかないですね」 この舞台を経験した1、2年生たち。彼らが奈良クラブユースを上のステージに押し上げる。 (文・写真=会田健司)