光浦靖子さんがカナダへ留学した理由
エレベーターの扉が閉まる寸前に叫びました。「きゃー! 北斗さーん!!!」「えええ!!! 光浦ちゃん?」「うおおお、み、光浦さん?」「健介さーーん!」抱き合ってしまいました。そう、確か、息子さんがバンクーバーに留学してたような。その通り。息子さんの顔を見にきてたんですと。すごい偶然。あのタイミングでトイレに行ってなかったら会えませんでしたもん。小さな膀胱の初めての手柄でした。
人生を変えた、北斗さんの一言
翌日、一緒にご飯しました。「息子さんが羨ましいな。私も留学してみたかったなぁ」「え? じゃ、光浦ちゃんも留学すればいいじゃん」いや、コストコじゃないんだから。そんな簡単に行けませんよ。「息子がお世話になった、信頼できるエージェントの人いるから。いつでも紹介するよ」 北斗さんの信頼できる人なら、本当に信頼できる人なんでしょう。私は20代の頃、全女(全日本女子プロレス)の追っかけのようなことをしていました。強い女性が子供の頃から大好きで、格闘技が好きで、90年代はもう二度と来ないだろう、女子プロレスが一番盛り上がっていた、一番狂っていた、殺し合いをしていた時代で、その中心にいた一人、デンジャラスクイーンが北斗晶さんです。私の憧れの女性の一人です。バラエティの世界に北斗さんがやってきた時は嬉しかったです。憧れの人と会話できるなんて。とことん強くて、とことん覚悟を決めた人だから、こんなに人に優しくなれるんだろうな、と常々思います。北斗さんはなぜか女芸人に異常に優しいです。異常に。底なしの懐です。 北斗さんの笑うとなくなる細い目を見ていたら、なんだか七福神の一人にこういう顔の人いたよな、なんて思っていたら、なんか神のお告げのような気がしてきました。「留学」が頭の片隅に、鎮座するようになりました。
光浦 靖子/文春文庫
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