macaroom、現代音楽の手法と歌詞音響理論をポップスに落とし込む
macaroomが7月10日に通算5枚目のフルアルバム「burning chrome」を配信リリースする。 【写真】2年ぶりのアルバムを発表するmacaroomのメンバー macaroomがアルバムを発表するのは、2022年6月の「inter ice age 4」以来約2年ぶりのこと。今作にはスコットランドのSFエレクトロバンド・Post Coal Prom Queenとの共作リミックス音源「Supai No Kodomo」など全12曲が収録される。これまで同様、emaruが全曲のボーカルを担当しており、極端に弱々しい透明感のある歌声、巧妙な発音と発声の実験、さらに電子的な加工や音響の合成によりポップスの枠組みを拡張している。楽曲はフォークトロニカ、アンビエント、IDM、ヒップホップ、シンスウェーブ、民謡、盆踊り、現代音楽、バロック音楽、ミニマル音楽、現代フォークの要素を詰め込みつつも、emaruの歌を中心としたポップス作品として制作されている。 macaroomはNHKドラマ「生理のおじさんとその娘」のオリジナルサウンドトラックを昨年4月に発表。さらに戸田真琴監督による映画「さじを投げる」の主題歌を、音楽家の知久寿焼(パスカルズ、ex. たま)とともに書き下ろした。また作詞作曲を手がけるアサヒは木石岳名義で文筆家として活動。2023年は言語学や心理学などの知見から独自の歌詞音響理論を体系化する書籍「歌詞のサウンドテクスチャー」を発表した。アサヒは過去にも理論書「やさしい現代音楽の作曲法」を執筆しており、これらの現代音楽の手法や歌詞音響の理論はニューアルバムで実践されているとのことだ。 なお「burning chrome」におけるサウンドデザイン担当・秋山ボブ大知は、東京藝術大学でライブエレクトロニクスの授業を受け持つ講師としても活動。ボブは本作で20世紀にスペクトル楽派と呼ばれていた音楽家たちの方法論を取り入れ、「burning chrome」でもあらかじめ録音されたemaruのボーカル音声を元にコンピュータで分析合成するというパーシャルトラッキングを取り入れている。 ■ macaroom「burning chrome」収録曲 01. geinin 02. q&p 03. lamb 04. heike 05. hole 06. burning chrome 07. chikyuu 08. machino uta(it was Christmas Eve) 09. count 10. walden 11. kyoukai 12. Supai No Kodomo ft. Post Coal Prom Queen