KANA-BOON、KALMA、UNFAIR RULEが競演 『PLAYLIST presents“ヘッドフォンを外して vol.8”』オフィシャルライブレポート
最後は大阪・堺出身のロックバンド、KANA-BOON。谷口鮪(vo/g)が「最前も真ん中も後ろも柱の向こうも!」と呼びかけ1曲目は「1.2. step to you」。観客もクラップやジャンプをして楽しむ。遠藤昌巳(b)も、観客と目を合わせながら笑顔で演奏していく。その勢いのままに「フルドライブ」へ。空間を切り裂くような赤と青のライトに照らされ、思い思いにかき鳴らす。アーティストと観客、互いが互いの熱量に応えるように、すぐに一体感が生まれていく。「UNFAIR RULEもKALMAも非常にいいライブをしていて、ハードル上がって困るなぁという感じですね。バトンは繋がれて、ホットな状態を前にライブができてうれしい。」とにこやかに話す場面も。 続いて演奏するのは「結晶星」。《キラキラと輝いている その光をまとった僕らは結晶星》という歌詞のように、まさにライトに照らされ、音楽を楽しむ全員がキラキラとした目をしていた。そして「星繋がりでもうひとつ楽しい曲を」という一言の後に軽快なイントロに乗せて始まるのは「スターマーカー」。観客は大きく腕を左右に振って、またもや一体感が増す。遠藤もステージを歩き回りながら演奏する。星繋がりの楽曲たちが、楽しい夜の時間をより一層輝かせた。「僭越ながら、ヒット曲1発お見舞いしてもよいでしょうか!」と谷口が呼びかければ、おなじみのイントロとともに「シルエット」へ。割れるような大きいクラップが鳴り響き、そして渋谷 CLUB QUATTROにいる全員の腕が高く上がった。夏フェスの会場かと思うくらい熱い空間。この盛り上がりが、楽曲の歴史を証明しているように思えた。《大事にしたいもの持って大人になるんだ どんな時も離さずに》 このライブハウスでの空間をいつまでも離さず、守り続けたいと強く思った瞬間だった。 MCで観客から呼びかけると谷口が「はーい、聞こえてるよ~」「もっと呼んで~」と応えるなど、気さくな人柄が垣間見える。「BUMPを歌った日、お互いがどんなバンドを目指してるのかゆっくり話していて。バンドは何が正解か? 考えた」と、ここでもKALMA 畑山悠月(vo/g)と食事に行った際のエピソードも。「長く続けたもん勝ちですよって。諦めたやつから去っていくし、俺たちはそういう経験をしてる。」「どれだけ重い荷物を持っても、音楽をやりたいのよ。KALMAは売れなくてもいいって言ってたけど、あんなにかっこいいライブするんだから、KALMA売れなきゃ嫌だよ。」「俺は売れたいです。沢山のお金を稼ぎたいからじゃない、売れれば売れるほどあなたに会えるから。」谷口がMCで素直に紡いでいく言葉からは、今夜の対バン相手であったKALMAへのリスペクトと、誰よりも観客・ライブ、そしてKANA-BOONを愛する気持ちがひしひしと伝わってきた。 暖かい空気に包まれた後、また熱いライブが再開。「いくぞー!」と呼びかけて始まった「まっさら」では観客の腕が大きく上がる。4人で向かい合って、これでもかというくらいの熱量で演奏していく。観客のシンガロングも圧巻だ。最後の一音、締めまでのメリハリも完璧にこなすところから、KANA-BOONとしてのライブ力を改めて実感した。「心のヘッドフォン外せますか!」そんな一言とともに続くのは「ないものねだり」。渋谷 CLUB QUATTRO全体が揺れていく。合いの手も完璧、観客全員でシンガロングしていく。「もっと笑顔で! あなたの笑顔が見たい!」そんな言葉に笑みも溢れる。《ゆらゆらゆらゆら僕の心》を《クアクアクアトロ》に歌い変えるなどお茶目な場面も。全員が笑顔で、今日という日を楽しんだ瞬間だった。 最後を飾るのは「ソングオブザデッド」。遠藤も、ステージを行ったり来たりしながら観客の期待に応えるように演奏。谷口もお立ち台に立って、熱唱し、観客はお気に入りのタオルをこれでもかというくらいに振り回す。会場にいる全員が大暴れ、まさにライブハウスでしか見られない光景が出来上がった。 KANA-BOONのライブは、磨き上げられた演奏力と数々の名曲、そして気さくなキャラクターが作る親近感から生まれたKANA-BOONの空気で全員を包み込む。誰も置いていかない、全員が笑顔になる。かっこよくて、あたたかいバンドKANA-BOONが作ったライブだった。 UNFAIR RULE、KALMA、KANA-BOON。3バンドがこの夜に作ったライブは、ヘッドフォンを外して向かったライブハウスだったからこそ、感じられたものがいくつもあった。等身大の思い、バンドとしての夢、自分を信じることの大切さ、様々なものを感じて持ち帰ることができた今日がとても幸せな時間だった。こうして幕を閉じた『PLAYLIST presents“ヘッドフォンを外して vol.8”』。今後、どんなアーティストのパフォーマンスをこのイベントで目にできるのか楽しみである。 <公演情報> 『PLAYLIST presents“ヘッドフォンを外して vol.8”』 9月4日(水) 渋谷 CLUB QUATTRO 出演:UNFAIR RULE(O.A)/KANA-BOON/KALMA