綾瀬はるかさんインタビュー「年齢を重ねるほどに、人生を選択できる楽しさを感じるようになった気がします」
真摯に、ていねいに、生きるひと。綾瀬はるか 「しあわせな時の重ね方」
いつだってふんわりと穏やかな空気を纏っている一方、仕事に対しては誰よりも粘り強くて、ひたむきで。そんな彼女が一つひとつの経験を重ねる中で迷いながら手に入れた、のびやかで凜とした生き方について。 【写真】綾瀬はるかさん
お話をうかがったのは
●俳優 綾瀬はるか 1985年3月24日生まれ、広島県出身。2000年に芸能界デビュー。たしかな演技力で俳優として活躍し、NHK大河ドラマ『八重の桜』をはじめ数々のドラマや映画に出演。大人気シリーズの最終作『義母と娘のブルースFINAL 2024年謹賀新年スペシャル』が’24年1月2日21時~TBS系で放送された。
時を重ねること
【役と一緒に、自分も成長している感覚があります。】 『ぎぼむす』が始まったのは約5年半前。亜希子さんという役とは、その間一緒に成長している感じがあるんです。戦国武将みたいなキャリアウーマンだった亜希子さんが、シリーズを重ねるごとにお母さんの顔になって。今では「戦国武将の感じで」と言われると、“どんな感じだっけ?”と戸惑うほど。私自身もその間に出会いや別れを経験したり、いろんなお仕事に挑戦したりして、亜希子さんと同じように変化しているなって感じます。確実に年はとっていますしね(笑)。ただ、子育てに関しては以前の方がリアルに感じていたかも。当初は幼少期のみゆきと接していたこともあって、“子供がいるとこんな感じなんだ、楽しいな”って思っていた記憶が。今は上白石(萌歌)さんが演じているので、“自分の子供”というより大人の役者さんと共演している意識の方が強いかもしれません。 【年齢を重ねる中で、人生を選択できる楽しさを実感。】 昔から“ずっと子供のままでいたい”という感覚でいたので、“早く40代になりたい”と思ったことがなかったんです。でも年齢を重ねるほどに、人生を選択できる楽しさを感じるようになった気がします。それに、経験値が増えて人の相談に乗れるようになってきたことも、年齢を重ねて良かったと感じることのひとつ。以前は「いやいや、私に聞かれても(汗)」という感じで、相談されるのが苦手だったんです。今は私もいろいろと経験して少しは大人になったから、「自分の時はこうだったけど……」と伝えられるように。ただ、いくら人からアドバイスをもらっても、自分でつまずいて泥んこにならないと気づかないこともあるんですよね。泥だらけになって初めて、“あ、こういうことだったのか”と本当の意味が理解できる。そうやって一つひとつ経験を重ねていくことも大事だなって思います。 【自分を狭めてしまう経験は手放していきたい。】 仕事を続けていれば、経験値は自然に増えるもの。10年前と比べると、現場で感覚的にわかっちゃうことって結構増えてきました。その気づきをどのぐらい受け入れて活かしていくかに関しては、常々考えていますね。一方で、経験があることで“出来て当然”と思われる部分も。ましてや私は自分で勝手にプレッシャーをかけちゃうことが多く、“当たり前にできなきゃダメだ。いや、それよりもっと上を表現しなきゃ”と追い込みがち。でも、そういう時こそ経験値や自分が何者であるかを全部捨てて、心から湧き出る感情だけで演じようと思っているんです。答えが見えている時も、「それって本当かな?」と自分を疑ってみると、別の可能性が見えてくることも。積み重ねてきたものから課題を見つけつつ、自分を狭めてしまう経験は手放す。そのバランスを上手にとっていけたらいいですよね。 MAQUIA 2月号 撮影/柴田フミコ ヘア/西村浩一 メイク/田口麻美 スタイリスト/山本マナ 取材・文/真島絵麻里 構成/木下理恵(MAQUIA) ※本記事掲載商品の価格は、税込み価格で表示しております。