7月のイベント開催を前に香港の夜空には世界初のドラえもんドローンショーも

　今年の夏、香港で開催される藤子・F・不二雄の生誕90周年を記念した大型イベント「100％ドラえもん＆フレンズ（100％多●A夢&FRIENDS）」のチケットの発売が5月25日、始まった。当日は朝から西營盤の孫文記念公園の芝生に、世界一となる高さ12メートルのドラえもんが、60体の等身大像と共ににサプライズで登場し、夜はビクトリアハーバーに世界初のドラえもんドローンショーも映し出された。（香港経済新聞） 　今回準備されたドラえもん像のうち1体が、初登場の秘密道具「100％友達を呼ぶ鈴（100% Friends-Calling Bell）」を首に付けている。イベントのテーマが「真の友は、必要な時にいつもそばにいる」であることから、「世界中の友達を香港に呼び寄せるために、この鈴を振る」設定になっているという。 　「ドラえもん」は1970年のコミックス誕生以来、香港では70年代から雑誌で連載。日本の次に世界で一番早く新作が手に入るのが香港で、80年代初めにはテレビアニメも開始した。長く「叮●（ディンドン）」の名前で親しまれ、特に40代以上には日本にも増してファンが多い。現在は「多●A夢」と呼ぶ機会も増えている。 　香港のクリエーティブ企業AllRightsReserved（ARR）が2012年に開催したドラえもん生誕100年前を祝うイベントに続き、12年ぶりに実施にこぎ着けたプロジェクトは7月13日に開幕し、8月4日まで開催する。 　イベントは、入場無料ゾーンとチケット制ゾーンから成り、有料展示エリアは2会場を用意。漫画アートや映画など、ドラえもんの世界を総合的に楽しめる内容に仕上げる。 入場無料の屋外展示エリアには、12メートルのドラえもん、等身大立像34体が登場する。 尖沙咀のハーバー沿い「アベニュー・オブ・スターズ」には、ドラえもんの仲間や家族7人に加え、パーマン、エスパー魔美も一緒に旅に出た設定で、香港映画界へのオマージュとして、100メートルの青いカーペットの上に、ドラえもんたちは正装し、エレガントな衣装で登場する。 　ハーバー沿いに隣接するチケットが必要な「ドラえもん彫刻パーク（100％ Doraemon Sculpture Park）」では、映画で登場した13体のドラえもんと、「さつまいもドラえもん」「オオカミドラえもん」「のび太とドラえもんのハイブリッド像」など、特別に作った変身ドラえもん23体を含む36体を展示する。 　同じくチケットが必要な展示エリア「ドラえもんまんがアート展示館（100％ Doraemon Manga Art Exhibition Hall）」は、K11 MUSEA6階で展開する総面積1万平方フィートの展示エリアを「ドラえもんの世界」に仕立てた。藤子プロ協力の下、アニメ制作会社「シンエイ動画」が香港のために制作したオリジナルアニメ「ジャイアンリサイタル・ワールドツアー」は、ジャイアンがコンサートを開くために香港を訪れ、今回初めて登場した秘密道具「100％友達を呼ぶ鈴」を使って友達を呼び集めるストーリーだという。ほかにも同エリアでは、没入型ルーム、インスタレーションのほか、17の長編物語を10面の巨大なコミック壁面として展示。30点の複製原画、7点の立体造形も展示する。 　一部のドラえもん像は「どこでもドア」から飛び出した設定で、香港内の公共スペースなど、あちらこちらにサプライズで登場し、これまでに展示されたことがない姿の像も並ぶ仕掛けも用意する。 　ARRのSK Lam代表は「ドラえもんは、漫画、テレビ、毎年の映画など、世代をつないできた象徴。2012年のイベントで香港にセンセーションを巻き起こし、その後、展示は日本を含むアジア16都市を巡回した。今回もパブリックアートや展示を通じて、子どもの頃の思い出を蘇らせることができれば」と意気込む。 　藤子プロの勝又日子社長も来港し、「ドラえもんが香港の人々と元気に交流する姿を見ることができるこのイベントを、とても楽しみにしている」と話し、「父から受け継いだ私の責任は、作品を大切に守り続けること。今回の展示は、ドラえもんの世界を鑑賞・体験でき、漫画、アニメ、立体、デジタルなど、多面的な内容を持つイベントで、ドラえもんと一緒になって、もう一度幸せを味わってほしい」とも。 　チケット制展示ゾーンの入場券は、オンラインで入場日時を予約する必要がある。各回の入場枠には限りがあり、先着順。チケットはオンライン購入サイトKlookで販売するが、限定3000セットの特典付きチケットは販売開始10分で完売した。チケットを持ってイベントに入場すると、非売品グッズと引き換えることもできる。チケットは、会場での当日販売も予定する。 　●＝口へんに拉。●＝口へんに當。