能登にも迫る酷暑「今は仮設に入るのが生きる希望」…建設待ち、避難なお2300人
県担当者は「建物や水道、道路の復旧工事もあり、作業員が不足している」と話す。県は8月中の仮設住宅の建設完了を目指すが、9月にずれ込む恐れもある。
酷暑の中で避難生活が続けば、災害関連死のリスクも増す。県内の自治体が認定した災害関連死は計52人。読売新聞の調べでは、自治体への申請数は、認定分も含め、少なくとも221人と増え続けている。
輪島市内で避難所の運営に参加するピースボート災害支援センターの上島安裕・事務局長は「住み慣れた土地に残りたい被災者には、避難所しか身を寄せる場所がない。避難者の健康悪化を防ぐためにも、国や県は仮設住宅建設や住まいの再建にマンパワーを集中させるべきだ」と訴える。
奥能登の復旧・復興には、今後も困難が待ち受ける。輪島市で全・半壊した建物の公費解体が完了したのは166棟(28日時点)。申請は約6300棟に上り、さらに増えるとみられる。友延和義・市環境対策課長は「冬は雪が降って解体作業が困難になる」と作業の遅れを危惧する。
大規模火災で260棟以上が焼失した輪島・朝市通り周辺の公費解体は、6月5日から本格化した。福光さんにとって、家族でよく買い物をした思い出の場所は、少しずつ更地が広がり始めている。「解体が早く進み、街並みが戻り、輪島塗の復活にもつながれば。お父さんもそう願っていると思う」。何年かかるかわからない。でも辛抱強く見守る覚悟だ。