「四季山水」制作過程たどる 飯田市美術博物館で春草生誕150年記念し特別展【長野県】
菱田春草の生誕150年の節目に当たり、長野県飯田市美術博物館は10月5日~11月4日に記念特別展「創造の道筋~画巻『四季山水』への歩み~」を開く。 注目の一つが晩年の作品で、四季の風情を長大な巻物に描いた「四季山水」。春の丘陵、夏の水辺、秋の森林、冬の水辺を表現し、市美博は「見るものを四季の旅へといざなうように場面を展開している」と解説する。 構想が固まった段階で最終的な構図を決める「大下絵」(長さ約9・5メートル)と大下絵前のモノクロ作品「小下絵」(同約3メートル)が現存し、特別展では完成作を含む3点を並べる。「作品の着手から完成までの推移をつぶさに追うことができる」とアピールする。 3点のうち完成作は東京国立近代美術館蔵、大下絵は個人蔵で、小下絵は春草の孫・笹本千草さんが2017年に市美博へ寄贈した。3点がそろうのは初めて。 市美博によると、眼病に倒れて療養中の春草を援助した収集家・秋元洒汀(1869~1945年)への感謝の意を込めた描いた。 この他、未完成の「雨中美人」、「三十六歌仙模写」、「装束写生」、「賢首菩薩」と雨中美人の小下絵、未完成の「説法」などを出品する予定。 期間中は関連企画として記念講演会「秋元洒汀と菱田春草~画巻『四季山水』に連なる絆~」、記念講演会「春草晩年の作品~四季山水を中心に~」、美術鑑賞の会、展示解説会を計画する。 記念特別展は午前9時半~午後5時。休館日は10月7、15、21、28日。一般700円で高校生以下は無料。問い合わせは市美術博物館(電話0265・22・8118)へ。