「フィンランド戦の涙の意味も初めは…」バスケAKATSUKI JAPANの激闘を映画化大西雄一監督が描いた“ 追体験”
12人それぞれの役割にフォーカスしたい
――苦労したことはありますか? 何を取捨選択するかですね。 例えば、先ほどのフィンランド戦での涙。よくよく勉強をしていくと、日本代表の苦難の歴史があるからこそ、あの涙につながっていくわけで、絶対に描かないわけにいかない。そうなると他の部分を削らないといけない。 今回、選手12人とコーチ3人、日本代表OB2人、計17人へのインタビューをしましたが、皆さんのお話を聞くたびに、プレーに違う意味合いが見えてきて。 さらにみんなが知っていることはもう描かなくていいと思っていたので、取材が終わると毎回選手が所属するチームの広報の方に「今日初めて聞いた話はありましたか?」と聞きました。 その中で「あの話は初めてでした」「あそこまでディテールを細かく話しているのは初めて聞きました」と教えてもらったものは、どうしても映像にのせたい。だから取材に行くたびに構成が変わっていって、「やばい、これエンドレスで終わらないな」と思っていましたね(笑)。 独占インタビューも大変でした。シーズン中での取材だったので、チーム事情で15分しか取材ができないこともあって。そうなると取材項目を絞り込まないといけない。全員に聞きたい質問もあったし、12人それぞれの役割にフォーカスしたい。抜き出した映像を持っていって、選手に見てもらったり、限られた時間の中で何を聞くかは、すごく悩みました。 でも、取材をしていく中で、僕の考えと皆さんの思いが合致していく瞬間というのがあって。だからすごく手応えを感じましたし、たくさんの方に楽しんでもらえるものになったと思っています。 大西雄一(47)/監督 主な制作・演出歴 NHK BS 「WRC世界ラリー選手権」(2021年~継続中) NHK BS1 「ワースポMLBスペシャルぜんぶ見せます! 激闘2020MLB」(2020年) NHK総合 「テレビはどう伝えた? ! 激動の世界」(※テレビ放送70年企画) NHKBS4K・ブレミアム「よみがえれノートルダム大聖堂」(日仏共同制作) NHKBS4K・プレミアム「天才ピアニスト・ブーニン 9年の空白を越えて~ハケ岳復帰公演 完全版~」 NHKスペシャル「ビジョンハッカー 世界をアッブデートする若者たち」ほか多数 NHK BS 「デジタル・アイ 北朝鮮 独裁国家の隠された“リアル”」 <映画> 2015年ドキュメンタリー映画「アンデスの英傑日本人・天野芳太郎の生涯」
林田順子