「立ち会い出産を公衆電話からテレビ生報告」元フジテレビ・笠井アナ 30年経ったいまも続く子育て環境の難しさ
ところが、結果的にたくさんの方から大絶賛されたんです。当時はメールもなかったので、視聴者の方からはFAXが届くのですが、ほとんどが「よくやった」という内容でした。仕事を休んでほめられることがあるんだ!と驚きました。 ── 笠井さんが立ち会い出産をしたあと、社会は変化していると思いますか? 笠井さん:少しずつ変わってきているとは思います。2021年に『Live News イット!』を担当していた、榎並大二郎アナウンサーが2週間の育休を取得して大きな話題になりました。少しずつ男性が育休を取得するのも当たり前の時代になりつつあると感じます。
でも、私が立ち会い出産で1日休んでから、榎並アナが2週間育休を取得するまでに25年かかっているんです。人々の意識は変わってきているとはいえ、実際の行動や社会の常識に変化が見られるまでには時間がかかるものだと思います。
■共働きだと「育児は週4日が限界」制度も意識もより求められる ── 笠井さんのご家庭は、奥様である茅原ますみさんもテレビ東京のアナウンサーでした。共働きで、子育てはどのようにしていたのでしょうか?
笠井さん:共働きで子育てするのは大変でした。私と妻は、休みを違う日にしました。私が土日休みにして、妻が平日の2日を休みにしたんです。 それによって、1週間のうち4日間は夫婦のどちらかが家にいられます。それ以外の日は、義母や実母に頼りっぱなしでした。 やっぱり、働きながら子育てする場合、誰かの手を借りないとムリだと実感しました。「子育て頑張ったね」とよく言われますが、実際、わが家で頑張ってくれたのはおばあちゃんなんです。
夫婦だけでなんとかしようとするのは本当に難しいと思います。少しずつ社会のサポートも増えてはきていますが、まだ十分とはいえません。親御さんが遠方にいる方は、いざというとき頼れる人が近くにいない場合もあるでしょう。 こうしたなか、大切なのは夫が「家事や育児は妻の仕事」ととらえるのではなく、自分の仕事でもあると考え方を変えることだと思います。子育てと両立して仕事をしようとすると、残念ながら現状では、女性の負担が大きくなりがちです。