春風亭一之輔、「虎に翼」に早くも“まだやってるのにロス” 「優三が法廷で弁護している姿を見たい」
落語家・春風亭一之輔さんの連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「虎に翼」。 【写真】元気すぎるキャラ?先日笑点を卒業した落語家といえば… 「虎に翼」と聞けば45歳以上の成人男子の9割は、漫画『タイガーマスク』に出てくる「虎に翼」が生えた彫像を思い出すはず。虎の穴の門前にどーんと置いてあるアレ。もちろん朝ドラにアレは出てこない。エンディングで翼の生えた可愛らしい虎のイラストは出てくるが、全くの別モノだし梶原一騎原作でもない。 余談だが「虎に翼」とは「鬼に金棒」的な意味で、同様の表現に「獅子に鰭(ひれ)」「弁慶に薙刀」「駆け馬に鞭」などがある。「強いものにより強い要素を加えると無双」ということ。ならば「佐山聡に竹刀」も加えてもいいと思う。???な方は「シューティング 合宿 佐山聡」で検索してみてください。 閑話休題。今回のお題は朝ドラの「虎に翼」です。開始から一日も欠かさずに観ています。これを書いている現在、5月9日の午前中。昨日山形での独演会があり、一泊してその帰りの新幹線の中。今日も8時00分からホテルのテレビで「虎に翼」を観てきたばかり。 今日放送の「虎に翼」では主人公・寅子(伊藤沙莉)が現在の司法試験にあたる、高等試験司法科に合格しました。二次試験の前に「六日早く」生理がきてしまい、月経痛の中での口述試験は本人としては上手くいかなかったようで意気消沈の様子……しかし結果は見事合格。とはいえ仲間たちの合否も行く末もまちまちで、素直に合格を喜べない寅子。来週以降は弁護士としての道を進んでいくのでしょうか……。
まだ5月上旬、始まってひと月ちょいでテンポ良すぎない? 最終回の9月末まではかなりある。「かなりある」が、必ず終わりはやってくる。あぁ、そのうち「虎に翼」も終わってしまうのだ。「ブギウギ」の時もそうだったが「まだやってるのにロス」が始まっている。早く頭の中を「ロスなのにまだ観られる! 素晴らしいっ!」モードに切り替えなければ……それくらい私は「虎に翼」にも心を掴まれています。 ………で、このコラムのお題「虎に翼」の締め切りが迫っているのですがなかなか進まないので、とりあえずここで読書でもして息抜きすることにします。 ~一時間半経過~ 先ほど、新幹線の中でここのところ読み進めていた吉村昭『漂流』を読了しました。史実を元にした長編小説です。 江戸時代、土佐の船乗り 長平が鳥島という無人島に漂着しそこで十二年暮らし続け、ついには帰還する物語。真水もなく、食料は一年のうち半年間だけ姿を現す渡り鳥とわずかな魚介類。仲間がみな先に逝き、自死も出来ず、念仏を心の支えにこの島で生きていく決意をする長平。新しい漂流者たちが合流するなか、時に反目するも、何年もかけて知恵と力を合わせ一艘の船を作りあげる漂流者たち……。 ……という内容でした。とにかく主人公はこの無人島での歳月になんとか抗おうとするのですが、読んでいて自然の残酷なまでの繰り返し繰り返しに気が遠くなりました。冬が来て、春になり、夏が来て、秋になり、また冬が来て、春のあとはやっぱり夏が来る。吉村昭、コピペしてるんじゃないか? と思っちゃうくらい恐ろしすぎる通り一遍な大自然。 十二年間、主食がアホウドリの生肉 or 干し肉。最初はまるで主人公たちを警戒せずバンバン捕獲されていたアホウドリも十二年経つと、しだいに人間の姿を見て逃げ出したり威嚇したりするくらいになるという歳月の長さ……。 自分だったら、辛いなぁ。ホントキツい。