【甲子園】勝因の一つは「上級生の力」 なぜ、早実は「全国16強」まで勝ち上がったのか
9年ぶりの3回戦進出
【第106回全国高等学校野球選手権大会】 2回戦 8月15日 第3試合 早実(西東京)1x-0鶴岡東(山形) (延長10回タイブレーク) 【選手データ】宇野真仁朗 プロフィール・寸評 西東京大会6試合で58得点31失点。甲子園1回戦も8対4と自慢の打力を前面に、9年ぶりの初戦突破を遂げた。 鶴岡東との2回戦は延長10回タイブレーク、1対0というスリリングな展開をサヨナラ勝ちで制した。 「二番・遊撃」の主将・宇野真仁朗(3年)は「(10回完封の)中村(心大、2年)が1回戦の課題を修正してよく投げ切ってくれました。守りも無失策。一つ成長するゲームでした」と、手応えを語った。 9年ぶりの3回戦進出は、日本ハム・清宮幸太郎が1年生だった2015年夏以来。なぜ、早実は「全国16強」まで勝ち上がったのか。 早実の責任教師である佐々木博之部長は「上級生の力」を勝因の一つに挙げる。部員48人のうち3年生は12人。チームを束ねる主将・宇野のリーダーシップが絶大だという。 「決してしゃべるほうではありません、行動で見せるタイプ。誰もが認める存在です」 鶴岡東との2回戦は先発9人のうち2年生が5人。宇野が3年生12人を束ね、下級生をけん引する形ができている。ベンチには9人の3年生が入っており、残る3人は補助員、記録員とサポートに回っている。甲子園では同じグラウンドレベルで12人が戦っている。 「12人は良くも、悪くも毎日、顔を合わせる。ブレが少なく、皆が同じ方向を向いている」(佐々木部長) 自ら考え、行動し、実践できるのが、早実の強みである。3年生の真摯な姿勢が、チーム力となっている。校訓の三敬主義「他を敬し、己を敬し、事物を敬す」を胸に戦いに挑む。 昨秋の新チーム発足時、上級生で決めたチームスローガンがある。「頂戦 この一瞬にすべてを懸ける」。この合言葉をアルプス席にいる控え部員を含めた48人全員で体現する。主将・宇野は西東京大会期間中に「強い早実を復活させる。一戦一戦、全員野球を貫く」と語っていた。中1日で3回戦。相手は107年ぶりの2勝を挙げ、快進撃を続ける大社(島根)との伝統校対決となった。早実としては目の前の試合に、全力を傾けるだけだ。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール