メキシコ・ペソは週間で7%超下落へ、世界最高クラスから最悪に転落
(ブルームバーグ): メキシコ・ペソは過去約4年間で最悪の週へと向かっている。世界の為替市場でペソロングは最も混雑したポジションの一つだったが、予想外の選挙結果でトレーダーはその巻き戻しを急いだ。
大統領・議会選で与党が与党が予想外の地滑り的大勝を収めて以降、ペソは7%余り下落。権力のチェックを弱め、経済への介入を強める改革が議会で成立する可能性が嫌気されている。ペソはわずか1週間で、今年の騰落率がトップクラスの通貨から最悪の通貨へと転落した。
メキシコの銀行グルーポ・フィナンシエロ・バセのエコノミスト、ガブリエラ・シラー氏は「もはや与党がし得ることのリスクでなく、与党がするであろうことに対して見込まれる反応だ」と指摘。「与党の改革は、メキシコのビジネス環境を悪化させるだろう」と述べた。
与党の改革には現在の最高裁判所を選出された判事と交代させるほか、独立した規制当局を排除することなどが含まれ、投資家の懸念は6日に完全にあらわになった。与党の下院幹部はこうした改革法案の手続きをシェインバウム次期大統領就任前の9月にも開始すると発言し、わずか数分の間にペソは3%近く急落。この幹部は後に発言を撤回した。
7日にはロペスオブラドール大統領がペソ急落の引き金を引いた。同大統領は国のために司法改革が必要だとあらためて述べ、ペソはこの日の下落率が2%に達した。
同氏は昨年から司法改革の重要性を主張しており、この発言は新しいものではない。それにもかかわらず市場が大きく反応したのは、トレーダーらが選挙後に敏感になっていることを示唆する。
「いまや与党には憲法改正が可能な議席がある。それが重要な意味を持つ」と、ナティクシスの中南米チーフエコノミスト、ベニト・バーバー氏は述べた。
原題:Worst Week in Four Years Makes Super Peso Global Laggard (1)(抜粋)
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Michael O'Boyle, Maria Elena Vizcaino