バレージ、ストイコビッチ、三笘薫…優れたフットボーラー達が持つ、ある共通点は"必須要件"でもあった
|いかに技術の幅を広げ、有益な情報を手にするかが、優れた判断の出発点かもしれない
試合を決めるゴールに、勝敗の行方を左右するプレー。記憶に残るシーンが生まれた背景には、選手たちの卓越した状況判断があった。取材歴30年のサッカージャーナリストが、状況判断に優れたシーンを振り返り、彼らが持つ共通点を綴った特別コラムを3回に分けて公開する。 (引用:『サッカークリニック 2024年12月号』 【特集】図解つき!サッカーの優れた状況判断PART4:特別コラム 状況判断に優れたフットボーラーたちより) 文/北條聡(サッカージャーナリスト) 【写真】日本の、今や世界レベルのアタッカーとして名高い選手は(Photo:Getty Images)
|問われるのは判断を伴った技術だ。つまりは《スキル》
めまぐるしく変わる状況に応じて、いかに適切な判断を下すかは、優れたフットボーラーになるための必須要件だろう。 もっとも、いくら判断力に優れていても、そこに技術が追いつかなければ意味がない。問われるのは判断を伴った技術だ。つまりは《スキル》ということになる。 このスキルは必ずしも1つではない。大別すると、ボールがあるとき(オン・ザ・ボール)とないとき(オフ・ザ・ボール)の2種類に分けられる。 高速化の一途をたどる現代フットボールでは、各々が適切な判断を下すための時間は削られる一方。そこで、あらかじめ、局面ごとにやるべきことを細かく整理するなど、プレーの自動化が進んできた。各選手の判断ミスから生じる人為的エラーをできるだけ減らすための手段と言っても良い。 例えば、攻撃側がビルドアップを試みる際、守備側がマンツーマンでプレスをかけてきた場合は無理につながず、前線のターゲットにロングボールを入れる──といった具合。また、守備側がプレスをかける際のトリガー(引き金)として、ボール保持者がうしろを向いたり、横パスやバックパスをしたりしたら、一気に寄せる。これらが事前に決まっていれば、選手たちは「いつプレスに行くか」を迷わずに判断できる。 とはいえ、事前の決めごとによって、すべてのプレーを自動化できるわけではない。各々がどうすべきかを判断するケースは、依然として少なくないはずだ。 (11/28に、バレージとストイコビッチの優れたプレーを例に解説する記事を公開予定。続きをお楽しみに)
サッカークリニック編集部