プライベートクレジットの融資回収、デフォルト後は一気に悪化
(ブルームバーグ): プライベートクレジット会社が自らの資産を過大評価する危険性は、急成長している同業界において最も論争の的になっているトピックのひとつだ。借り手がデフォルト(債務不履行)に陥った場合、どれだけ資金を取り戻せるのか。新たなデータからまさに火に油を注ぐような結果が示された。
プライベートクレジット、沈黙の掟が隠すリスク-安全性は幻想か
プライベートクレジット業界は企業への資金貸し付けという有利なビジネスを巡り投資銀行と競争しているが、最大のセールスポイントのひとつは強力なローンのプロテクションで、借り手との1対1の関係によって問題が発生した際には、さらにプロテクションが期待できるというものだった。KBRAダイレクト・レンディング・ディールズ(DLD)の新たな分析はこうした前提に疑問を投げかけている。
過去1年間にデフォルトに陥った企業への融資を見ると、プライベートクレジット会社が手掛けた融資はデフォルト後に平均48セントと評価された。これは1ドルの貸し付けに対して回収が見込める分を表している。銀行主導のシンジケート団による融ではデフォルトから1カ月後で55セントだった。
この分析ではまた、デフォルトが発生する数カ月前までダイレクトレンダー(直接融資業者)は融資見通しにより楽観的である傾向が示された。債務不履行前の6カ月でダイレクトローンは平均で76セント、3カ月前では70セントと評価された。シンジケートローンの場合はそれぞれ67セントと61セントだった。
原題:Private Credit’s Recovery Rates Are Worse Than Its Biggest Rival
(抜粋)
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Lisa Lee