アーチェリーの名門・近大洋弓部のコーチに五輪6大会連続出場の古川高晴さん…17人のオリンピアンを育てた山田秀明監督は「誰よりも努力した経験生かして」
アーチェリーの名門・近大洋弓部が今月から新体制をスタートさせた。今夏のパリ大会まで五輪に6大会連続出場した古川高晴さん(40)(近大職)が10月末で現役を引退し、コーチに就任。古川さんを含め17人のオリンピアンを育てた山田秀明監督(73)は「誰よりも努力した選手。経験を生かして新しい選手を育ててほしい」と期待する。
近大洋弓部は1967年創部。山田監督が80年に母校の監督となった当時は「練習試合を申し込むと鼻で笑われた」というほどの弱小チームだったが、練習量を増やし、大学に掛け合って専用射場や選手寮などを整備。徐々に実力のある高校生が入部するようになり、屈指の強豪となった。
今夏のパリ五輪には近大出身者が3人出場。五輪選手を継続的に輩出する背景には、90年代末頃から世界的強豪の韓国からコーチを招いたことも大きい。2009年から指導する 金清泰(キムチョンテ)コーチ(44)はシドニー五輪男子団体金メダリストで、「弓のチューニングや柔らかいリリースなど、日本の指導者にはない細やかな技術を惜しみなく伝えてくれている」(山田監督)という。
12年ロンドン五輪で銀、21年東京五輪で銅メダルを獲得した古川さんは、「近大の強さは山田監督が情熱を持って作り上げたもの。僕も後輩たちのためにエネルギーを注ぎたい」と意気込む。
山田監督は「五輪メダリストだからといって簡単に指導できるわけじゃない。たくさん勉強してもらわないと」。10月末の全日本選手権では、男女計6人が10位以内に入るなど有望な学生が多い。4年後のロサンゼルス五輪を目指し、充実の3人体制で伝統を紡いでいく。(後藤静華)