父が示した左腕の道 尽誠学園・村上、「智弁和歌山撃破」の目標達成 交流試合
2020年甲子園高校野球交流試合は最終日の17日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であり、第2試合は尽誠学園(香川)が智弁和歌山を8―1で破った。 【写真特集】特別な夏・智弁和歌山vs尽誠学園 強打の智弁和歌山を7回1失点に抑えた尽誠学園の左腕・村上は、2四球にまとめた投球に納得顔だ。というのも利き手は右だから。試合後、力があり余る右について「右投げは速度が測れないくらいコントロールできません」と、抑えの利いた左との違いを笑顔で解説していた。 マウンドでは「全員が4番だと思って投げた」と低めと際どいコースを意識した。一回は1点を許し、なおも2死一、三塁のピンチに6番の左打者・角井を迎える。初球に外に逃げるスライダーを見せ、その後は外角いっぱいに3球直球を続け、空振り三振に仕留めた。四回と七回を除いて走者を背負ったが、丁寧な投球で連打を許さず二回以降は0を並べた。 小学2年までは右投げだったが、所属チームのコーチだった父に左投げ転向を勧められた。チームは右投げしかいなかったためだ。「何言ってんのかな」と思いつつ、以来、壁当てを繰り返し、今や最速140キロを投げるまでに。「(左は)打者に嫌がられる。あの時に変えてよかった」と父に感謝した。 和歌山県印南町出身で、尽誠学園に進んだのは「智弁和歌山を甲子園で倒すため」。目標を達成し、「成長の糧にしたい」と、早くも次に目指す社会人野球の舞台を見据えていた。【森野俊】