内閣支持率は微増も「危険水域」続く、衆院3補選が命運左右の可能性
(ブルームバーグ): 岸田文雄首相の内閣支持率が週末に実施された一部の世論調査で微増したが、3割を切る「危険水域」を脱していない。秋の自民党総裁選を控え、28日に投開票が行われる衆院3補選の結果は政権の命運をも左右しかねない。
今月10日に米ワシントンで行われた日米首脳会談は評価されたものの、政治資金問題への国民の不満が根強く、支持率の大幅アップにはつながらなかった。朝日新聞が20-21日に行った調査では26%だった。前月比で4ポイント増加。同時期に行われた毎日新聞の調査では支持率も3カ月ぶりに22%と20%台を回復した。読売新聞の19-21日の調査での内閣支持率は前月比横ばいの25%だった。
3補選は東京15区、島根1区、長崎3区で行われるが、自民党が候補者を擁立できたのは細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区のみだ。細田氏が当選を重ねてきた「保守王国」の同選挙区で敗北すれば1勝もできなかったことになり、政権運営は厳しさを増す。菅義偉前首相は2021年4月の衆参2補選と参院広島選挙区の再選挙で1勝もできず、同年9月の総裁選で立候補せずに退陣した。
与野党一騎打ちの構図となった島根1区では、16日の告示後に各社が行った調査で対抗馬の立憲民主党候補の優位を伝えている。朝日は、自民新人の錦織功政氏が自民支持層の8割を固めたものの立憲前職の亀井亜紀子氏に「食い込まれている」と報道。読売も亀井氏が先行し、錦織氏が苦戦しているとしている。
林芳正官房長官は22日午前の会見で世論調査の受け止めを問われ、「国民の政治に対する不信の声は真摯(しんし)に受け止めなければならない」と答えた。党のガバナンス改革や政治資金規正法の改正など内政外交の諸課題に取り組み、「ひとつひとつ結果を出していく」と述べた。
日米首脳会談を行った直後の調査でも内閣支持率は上昇したもものの、20%台にとどまっていた。共同通信の調査(13ー15日)では前回3月調査を3.7ポイント上回る23.8%。ANNの調査(13ー14日)でも26.3%と前回比で5.4%上昇していた。