盟友・上島竜兵さんの誕生日に旅立ち…追悼・南部虎弾さん「それでも舞台に立つ」本誌に語っていた言葉
まさか上島竜兵さんの誕生日に旅立つとは……。 1月20日、パフォーマンス集団『電撃ネットワーク』の南部虎弾(なんぶ・とらた、本名・佐藤道彦=さとう・みちひこ)さんが20日午後11時55分、脳卒中のため都内の病院で死去した。死因は脳卒中で、72歳だった。 【これぞ電撃ネットワーク】すごい!イギリス公演で大成功を収めた「電撃ネットワーク」のメンバー写真 奇しくも、1月20日は、’22年5月に死去したお笑いトリオ『ダチョウ倶楽部』の上島竜兵さん(享年61)の誕生日だった。南部さんは『ダチョウ倶楽部』結成時のメンバーだった。上島さんの訃報の際には、’22年5月12日に出演した『情報ライブ ミヤネ屋』で、 「もう、お会いすることがないんでできれば本当は自分で死を選ぶっていうのは間違ってますよ。自分は2年前に腎臓移植っていうのをやって、ベットにいる時に“どうやって生きようか”って、まわりにいる人たちも自分の命をどうやって守っていこうかって考えている中で、自分で自分の命を捨ててしまうのはやっぱり竜兵くん間違ってるよ。間違っているよと言っても、もう帰ってこれないんだから」 と、息を詰まらせていた。 「南部さんは’17年に糖尿病が悪化し、緊急搬送されました。その後、心臓バイパス手術を受け、’19年5月には、腎臓移植手術も受けています。それでも、舞台を続けたいと頑張り続けていました」(芸能事務所関係者) 『FRIDAY』は’20年7月3日号で、移植手術後、舞台に復帰した南部さんのインタビュー取材を掲載している。芸人南部さんの素顔を振り返りたい(内容を一部修正しています)――。 ◆「格好悪くても、這いずり回って生きるのが自分の生き様」 「人間は裸一貫で生まれて、裸一貫で死んでいく。どんなに格好悪くても、這いずり回って生きるのが自分の生き様です」 そう語るのは過激パフォーマンス集団『電撃ネットワーク』のリーダーである南部さん。生きたサソリを口に入れる「サソリ男」、鼻から入れた牛乳を目から出す「ミルクマン」など、良い子であろうとなかろうとけっしてマネできない“究極の肉体芸”で彼らはお茶の間を震撼させ続けてきた。そんな『電撃』が’20年に結成30周年を迎えた。 「自分たちはこの30年間、テレビ番組のレギュラーが1本もなかったんですよ。それなのに世間に名前を覚えてもらえて、活動を細く長く続けられていることは、ある意味で誇らしいと思いますね」(南部・以下同) 洗剤の一気飲みなど、『電撃』のパフォーマンスはまさに命懸け。ウラではこんなピンチもあったという。 「学園祭に引っ張りダコだった頃、睾丸に巻いた紐をバイクにつけて引っ張るという芸をやっていたのですが、あるステージでパフォーマンスの途中でズルッと“袋の皮”が剥(む)けちゃった。もう痛くてしょうがなかったけど、その日以降も、包帯を巻いて仕事を続けました(笑)。 人間ポンプの芸でピラニアを飲み込んで、なかなか出てこなくて焦ったこともあったね。結局、ステージが終わって3時間後にビールを飲んだら気持ち悪くなって、トイレで吐いたら血だらけのピラニアが出てきたんですよ。次の日、病院に行ったら胃に穴が開いていました」 そんな南部さんだが、自身が患(わずら)った病(やまい)での入院中には「脱退」の二文字が一瞬だけ脳裏をよぎった。 「’17年3月に糖尿病が悪化して救急車で運ばれました。その時、呼吸が止まっていたんです。なんとか助かって心臓のバイパス手術を受けるために入院。さすがに『もう「電撃」は続けられないかもしれない』と考えていました。さらに’19年5月にはカミさんから腎臓を提供してもらい、移植手術を受けました。『今度こそ、もうステージには立てないかな』と諦(あきら)めかけましたね」 だが、「もう一度、お客さんを楽しませたい」という一心で度重なる手術を乗り越え、南部さんは’19年夏に復活を果たした。 「人生は楽しんだ者勝ちですよ!」 そう語っていた南部さん。今頃、上島さんと再会しているのだろうか。
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