月のサービス残業が「30時間」なのですが、定年まで働いた場合どれだけの「損失」になりますか?
仕事量が多い、人手が足りないなどの事情でやむを得ずサービス残業をしているという人もいるでしょう。サービス残業は、残業代がもらえないため、残業時間が増えるほど、損失も大きくなってしまいます。 本記事では、一般企業でのサービス残業の状況と、毎月30時間のサービス残業を続けたら、定年までにどれだけの損失になるのかを紹介します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
サービス残業とは?
サービス残業とは、残業代が支払われない残業のことです。「賃金不払残業」とも呼ばれています。企業と雇用関係にある労働者が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働したにもかかわらず、割増賃金が支払われないケースがサービス残業に該当します。 「仕事を持ち帰って自宅で作業する」「就業時間外での打ち合わせ」「所定の始業時間より早く業務に取り掛かる」などといったように、サービス残業の実態はさまざまです。 残業そのものは、違法ではありません。ただし、従業員にサービス残業をさせることは違法です。従業員が時間外労働または休日労働をした場合は、事業主は割増賃金を支払うことが労働基準法第37条第1項によって義務付けられているからです。
ほかの人はどのくらいサービス残業をしている?
法律違反だと分かっていても、サービス残業をせざるを得ない人は少なくないようです。日本労働組合総連合会が2014年に実施した「労働時間に関する調査」によると、賃金不払い残業(サービス残業)をせざるを得ないことがあるとの問いに対して、「ある」と答えた人が全体で42.6%もいました。 正規労働者の役職別でみると、一般社員が48.6%、主任クラスが57.8%、係長クラスが63.9%、課長クラス以上が55.2%でした。この調査から、社内での立場が上になるほど、サービス残業を行う人が多いことが分かります。 では、労働者は月にどの程度の残業をしているのでしょうか。厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査令和4年分結果確報」によると、一般労働者の所定外労働時間の平均は13.8時間でした。この数値と比べると、月30時間のサービス残業は、非常に多いといえるでしょう。