米で急成長、無料動画配信「FAST」国内で始まる…サービス全体では「ネットフリックスに匹敵する規模」
新興ソフトウェア開発会社「BBM」(東京)と大阪ガスなどは20日、米国を中心に急成長している広告付きの無料動画配信サービス「FAST」を国内で初めて開始した。チャンネルを選択するだけで番組が次々と流れ、テレビを見るように楽しめる仕組み。競争が激化する動画コンテンツの新たな選択肢として、日本でも注目を集めそうだ。(寺田航)
料理や旅行、時代劇、子ども向けなど
スタートした日本版サービス「FASTチャンネル」では、ユーチューバーのマネジメント会社やテレビ局などが番組を企画し、料理や旅行、時代劇、子ども向けなど異なるジャンルの計10チャンネルを展開する。 動画や生活情報をテレビなどで楽しめる大阪ガスの有料会員サービス「スマイLINK」を通して視聴できる。将来は30チャンネル程度まで増やし、配信先も拡大していく方針だ。
ネットフリックスがトップ
総務省によると、世界の動画配信市場は2026年には1436億ドル(約23兆円)に達すると予測されている。コロナ禍を契機に在宅時間が増え、幅広い層で視聴が習慣化したことが背景にある。 動画配信市場では、定額で見放題のサブスクリプション(サブスク)サービスが主流だ。独自のコンテンツを豊富に抱える米ネットフリックスが、有料会員数で2億6960万人とトップを走る。
米国では「サブスク疲れ」も
巨大IT企業「GAFA」の一角を占めるアマゾンや、人気キャラクターなどのIP(知的財産)を数多く抱えるディズニーなども参入している。 サブスクでは、大量の映像コンテンツの中から見たい番組を1本ずつ選び出す必要がある。一方、FASTでは、番組を選ぶ労力が少なく、「ながら見」で気軽に楽しめるため、米国では「サブスク疲れ」(動画配信大手)の消費者がFASTに乗り換える動きが加速しているという。
BBMによると、FAST大手の「Tubi」の月間利用者は7800万人、「プルートTV」は9000万人といい、FASTサービス全体では「ネットフリックスに匹敵する規模」(関係者)とみられる。