新田真剣佑の“絶望”感じさせる演技が見事 森田剛の“怪演”も光る<ワンダーハッチ>
実写とアニメの2つの世界を舞台にしたオリジナルファンタジー「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」の第3話、第4話が12月27日に配信された。第2話のラストで、現実世界のナギ(中島セナ)の前にアニメ世界のタイム(奥平大兼)が実写となって現れた。2人の主人公が現実世界でそろい、物語が大きく動き始めることに。そしてアクタ(新田真剣佑)と、柴田(森田剛)の2人が存在感を増した週でもあった。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】森田剛、怪しげなオーラが漂う“コンビニ店員”役を怪演! ■「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」とは 同作は、実写で描く現実世界「横須賀」と、アニメで描くドラゴンが棲む異世界「ウーパナンタ」が舞台。現実世界の高校生・ナギと異世界から来た少年・タイムが運命的に出会い、やがて互いに協力しながら世界の危機に立ち向かっていく。 ナギ役を清涼飲料水のCMやファッション雑誌などのモデルとして活動する中島、タイム役を2023年7月期のドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)などで頭角を現している奥平が演じる。そんなフレッシュなW主演コンビを支えるのが、新田、森田、田中麗奈、三浦誠己、成海璃子ら実力派俳優たちと、津田健次郎、武内駿輔、大塚芳忠といった声優たち。 作品全体の演出を、漫画原作を実写化した「東京喰種 トーキョーグール」(2017年)の萩原健太郎監督が務め、アニメーション監督を「劇場版 ONE PIECE STAMPEDE」(2019年)などの大塚隆史、キャラクター原案・コンセプトアートを「約束のネバーランド」(集英社)の作画を担当した出水ぽすか、アニメ制作を「攻殻機動隊」シリーズなどで丁寧な作画に定評があるProduction I.Gが手掛けるという、豪華な布陣となっている。 ■ナギは親友のソンと共にタイムに協力してアクタを捜す 最恐のドラゴン乗り・ジャイロ(CV:津田)に消し飛ばされたドラゴン乗りの英雄・アクタ(新田)を捜すため、相棒であるドラゴンのガフィン(CV:武内)と共に現実世界へやって来たタイム。ナギは亡き母・ハナ(田中)の部屋に突然現れたタイムたちに驚いて家を飛び出るが、タイムが口にした言葉「カサミ・ダミダラ」がかつて母の発していたものと同じだと気付く。 ナギは親友・ソン(エマニエル由人)を連れて家に戻ると、「カサミ・ダミダラ」はウーパナンタ語で「世界を救う」という意味だと教わった。一方、タイムは漫画家だったハナが描いていたキャラクターの中にアクタにそっくりな絵を見つけていた。 ソンの提案で、ナギは一緒にタイムのアクタ捜しに協力することに。 ■新田真剣佑と森田剛の演技が光る アクタが、観光客も多く訪れる無人島の猿島にいることをつかんだタイムたちは、早速会いに行く。驚くことに、そこでアクタはウーパナンタに似た雰囲気の理想の楽園となる“国”を作ろうと、仲間たちと進めていた。 そんな志を持ちつつも、ウーパナンタに何度も戻ろうとしたがかなわず、また現実世界での出来事に傷つき、どこか投げやりになっているようにも思えるアクタ。決して諦めることがなかったかつての英雄の姿はそこにはなかった。 ウーパナンタに戻って世界を救うことは諦め、「ここでこそ俺は本当の俺になれる」と言うアクタ。今、守りたいものもここにあるのだとも。 物語の転換点の一つ、ヒーローの挫折。アクタの姿はまさにそのものだが、半人前だが“信じる”強い気持ちを持つタイムはどうするのか。アニメ世界でのアクタがタイムを仲間にしたときを振り返り、そこから現実世界の今とのつながりも自然に感じられた。それは俳優陣の好演も大きい。新田“アクタ”の絶望からの闇を感じる表現と、悲しげな奥平“タイム”の瞳が胸を打った。 そんな中で挟み込まれたコンビニ店員・柴田(森田)の描写。身元不明の遺体が見つかったというニュースが音声で流れる中、柴田はパート店員に辞めた店長の代わりに自分が店長になったと告げた。オーナー店舗のはずなのにと不審に思うパート店員も辞めさせ、入れ替わるようにコンビニにやって来たのはウーパナンタ語を話す男たちだった。 店長を殺してしまったのかという怪しさが渦巻く柴田。ボソボソと話すその姿にゾクッとする。演じる森田の見せ方のうまいところだ。 新田と森田の演技が光り、物語への吸引力が増した第3話。第4話では、タイムはアクタ、そして柴田と向き合うことに。本作は全8話であり、中盤に差し掛かってクライマックスに向かう盛り上がりから目が離せなくなる。母・ハナの存在によってウーパナンタと運命のつながりがあるナギもどう絡んでいくのか、期待が高まる。 「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」は、ディズニープラスのスターで毎週水曜に新エピソードを独占配信中。2024年1月3日(水)の第5話以降は毎週1話ずつ配信される。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部