東京消費者物価は3カ月ぶり伸び拡大、2カ月連続で2%下回る
(ブルームバーグ): 全国の物価の先行指標となる5月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は3カ月ぶりにプラス幅が拡大した。電気代を中心にエネルギーが上昇し、全体を押し上げた。縮小が続いていた食料品の伸びは横ばいだった。
総務省の31日の発表によると、コアCPIは前年同月比1.9%上昇と伸び率は前月の1.6%から拡大した。市場予想と一致した。再生可能エネルギー発電促進賦課金の引き上げに伴う電気代の上昇などがけん引した。一方、生鮮食品を除く食料は3.2%上昇と前月と同じ。日本銀行が目標とする2%は2カ月連続で下回った。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは1.7%上昇と前月の1.8%上昇から伸びが縮小した。市場予想は1.8%上昇だった。
日銀が3月に17年ぶりの利上げに踏み切り、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を廃止した後も、円安傾向に歯止めがかかっていない。国債買い入れ減額の思惑も加わって長期金利は1%台で13年ぶりの高水準に達している。追加利上げのタイミングに市場の注目が集まる中、足元の物価上昇の鈍さから慎重に経済・物価情勢を見極めていく展開が続きそうだ。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は0.7%上昇となり、大きく鈍化した前月の0.8%上昇から縮小した。今年の春闘で平均賃上げ率が33年ぶりに5%を超える中、賃上げ分を価格に転嫁する動きの広がりが注目されている。
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Sumio Ito