【速報】佐賀鉄工所が唐津市厳木町に新工場 新産業集積エリア唐津を全て取得、EV対応の生産拠点に
佐賀県は23日、自動車用ボルトの国内トップメーカー「佐賀鉄工所」(本社・佐賀市)が佐賀県唐津市厳木町の工業団地「新産業集積エリア唐津」に新工場を建設すると発表した。団地11・1ヘクタールを全て取得する。電気自動車(EV)に対応する新製品の生産拠点とし、老朽化した佐賀工場(佐賀市神園)の機能も移転する。厳木の工業団地は県と唐津市が共同で整備して13年が経過しており、待望の一括分譲となる。 県内の企業進出は、物流拠点の鳥栖市を軸に県東部の引き合いが多いのに比べ、県北部や西部は低調。厳木工業団地も多くの企業が関心を示すものの、分譲できずにいた。山口祥義知事は「佐賀が誇るべき世界的な企業である佐賀鉄工所が、EV化含め新たな技術開発を創業の地である佐賀県から進めるのは大変うれしく思う」と述べた。県と唐津市は投資や雇用に対する補助を検討している。 佐賀鉄工所は1938年創業の自動車用高強度ボルトの国内トップメーカー。従業員はグループ全体で1875人、23年の売上高は789億円(3月期連結)。県内は佐賀市、大町町、多久市に工場があるほか、神奈川県藤沢市、米国、中国、タイ、メキシコに生産拠点を持つ。 厳木工業団地に整備する唐津工場(仮称)は、EV化に対応するボルトを含む新製品の生産拠点とする。投資額約75億円で、延べ床面積3万平方メートル。25年8月に着工し、27年4月に操業を開始する予定。加えて、施設が老朽化した佐賀工場の機能を移転する。移転完了は2030年3月を予定している。佐賀工場跡地の利活用は今後検討する。 唐津工場が進出する厳木工業団地は、「新産業集積エリア」第1弾として県と唐津市が共同で整備し、11年1月に分譲を開始。地盤が強固で地震の発生リスクが少ないことや、高台で浸水想定区域外であること、高規格道路のインターに近接するアクセスの良さがアピールポイントだったが、13年以上にわたり分譲できずにいた。 佐賀鉄工所は今月17日に唐津市の土地開発公社に土地譲渡申込書を提出。分譲価格は約13億8千万円(1平方メートル当たり1万2400円)。 県は「唐津工場の建設で周囲の風景は一変する。今後、関連企業の進出も期待でき、地域振興のインパクトは大きい」とする。厳木工業団地は既に用地買収を終えている第2期分の用地(18・8ヘクタール)がある。今回の売却を、第2期分の造成に向けた弾みとしたい考えだ。
栗林賢