【JT杯】渡辺明九段5年ぶり4度目V「途中から思い切った方針にして」紫綬褒章に次いでの栄冠
「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦(JT杯)」決勝、渡辺明九段(40)対広瀬章人九段(37)戦が24日、東京都江東区の東京ビッグサイトで公開対局で行われた。持ち時間各10分という早指し戦は、後手の渡辺が広瀬を106手で下した。5年ぶり4回目の優勝を果たし、優勝賞金500万円を獲得した。 5年前の決勝と同じカードで、見事に頂点に返り咲いた。中盤の激戦を抜け出すとうまくまとめた。「5年ぶりの舞台に独特の緊張感がありました。途中から思い切った方針にしてうまくいきました。何とか勝ち筋を発見できました」。 2回戦で豊島将之九段、準決勝で稲葉陽八段と実力者を撃破。5年前に棋王戦(3勝1敗)、4年前の王将戦(4勝3敗)とタイトル戦でも挑戦を退けてきた広瀬も撃破した。「5年間チャンスもなかった。目に見える結果が出てうれしく思います」。 2000年(平12)4月1日付でプロデビューして以来、今年で勤続25年。表彰対象棋士となった。秋の褒章では、長年にわたり学術や芸術上の発明、改良、創作に関して実績の著しい者に授与される「紫綬褒章」を受章した。将棋界では60年木村義雄14世名人が初めて受章して以来、16人目。18年に紫綬褒章を受章した羽生善治九段以来となり、歴代で史上最年少となる。 勲章に加え、栄冠も手にした。今年の王位戦では、このタイトル戦に初めて挑戦して藤井聡太王位(竜王・名人・王座・棋王・王将・棋聖)との対局では大いに見せ場も作った。まだまだ戦える。ファンも期待している。