名スカウトが選ぶ甲子園「特A」は大阪桐蔭の藤原恭大で「阪神糸井以上」
野手では他には近江で4番を打ち、3回戦の常葉菊川戦では4打席連続タイムリーをマークした北村恵吾と、日大三の主将でショートの日置航の2人の名前が挙がった。 「北村のバッティングはしぶとく勝負強い。打撃の軸がしっかりとしていて体格もある。日置は守れるし野球を知っている。彼もまた勝負強さが魅力だ」 近江の北村は準々決勝では、注目の金足農・吉田から三遊間にタイムリーを放ち、大会打点を歴代6位となる「12」としている。 投手では話題の金足農の吉田輝星 を含めて7人の名前をリストアップした。 「金足農の吉田がズバ抜けた存在。3球団は1位入札があるかもしれない。将来の伸びシロに期待しての素材型としては、浦和学院の渡辺、大阪桐蔭の柿木、龍谷大平安の小寺の3人。渡辺は球威があり、体が大きい割に、体の使い方がスムーズで柔らかい。大型右腕として上位で評価されるかもしれない。柿木は151キロをマークするポテンシャルがありボールに角度がある。コントロールが不安だが、プロに入って体ができてくる中で、どう成長するか。小寺もボールに力がある」 将来性を買ってのリストアップは、浦和学院の渡辺勇太朗 、大阪桐蔭の柿木蓮、龍谷大平安の小寺智也の右腕3人だ。渡辺は2 回戦の仙台育英戦で149キロをマークし3 回戦の二松学舎大付戦では完封勝利。3試合で21回3分の1 を投げて22奪三振、防御率2.11の成績を残しプロ志望を口にしている。柿木は4試合にストッパーとして起用され、150キロ級のストレートを連発、防御率0.50を誇る。 「安定感のある即戦力型が、高岡商の左腕・山田と下関国際の鶴田の2人だろう。この2人はストライクが取れる。中継ぎで計算が立ちそうな2人だ」 即戦力型は、高岡商の左腕、山田龍聖と、下関国際の鶴田克樹の2人。山田は3試合に投げて24回で26奪三振、防御率2.25と安定した成績を残した。ストレートは140キロちょっとだったが、タメのあるフォームで打者がタイミングを取りづらそうだった。 下関国際の鶴田はテイクバックの小さい独特のコンパクトなフォームで4試合を一人で投げきった。最速は145キロ。日大三高戦では7回二死までノーヒットノーランを続けていた。スカウトによって評価は分かれるだろうが、片岡氏は「下の方で指名しておけば面白い」と見ている。 二刀流で話題となった花咲徳栄の野村佑希、木更津総合の野尻幸輝の2人については「現時点では野村が若干上だが、甲乙つけがたい。おそらくプロでは野手だろう。時間はかかるが、二刀流のできるアスリート能力の高い選手だけに可能性に期待がかかる」という。野村は打者として2試合連続アーチを放っている。 「A評価の4人中3人が準決勝に残ったので、彼らが火事場の馬鹿力の出る甲子園の大きな舞台でどれだけの可能性を見せてくれるか楽しみだよ」 優勝の行方と同時にドラフト候補生たちの最後の夏にも注目したい。