【デイリー杯2歳S】新星ジャンタルマンタルはダービー路線でも楽しみな素材 カンティアーモの敗因は
日本にも縁のあるPalace Malice産駒
11頭で計3.7秒。これはデイリー杯2歳Sの出走馬たちが新馬、未勝利戦でつけてきた着差の合計だ。着差が全てではないが、能力を測るひとつの尺度ではある。下級のレースを楽勝してきた馬が集まった、GⅠ前哨戦にふさわしい好メンバー。今年のデイリー杯はそんな一戦だった。 【エリザベス女王杯2023 注目馬】GⅠ級の牡馬相手に善戦、平坦コースで牝馬相手なら力は一枚上だ! SPAIA編集部の注目馬を紹介(SPAIA) この戦いを制したのは鮫島克駿騎手騎乗、1番人気のジャンタルマンタル。2着エンヤラヴフェイスにつけた着差は0.3秒だった。1986年以降の当レースで、2着に0.3秒以上の着差を付けた馬は過去13頭。ビワハヤヒデ、メイショウボーラーら5頭がのちにGⅠ馬になり、エアスピネル、エイシンキャメロン、レジェンドハンターは朝日杯FSで2着に入った。ジャンタルマンタルも大舞台への視界は開けたといっていい。 レースはメイショウサチダケの逃げに九州産馬テイエムチュラランが続いて前後半47.4-47.1の平均ペース。ジャンタルマンタルは五分のスタートから馬なりでインの3~4番手につけると、道中少しだけ行きたがる面を見せながら追走。直線入り口では空いたインを突いて先頭に立ち、残り200m付近で鞍上のステッキに応えて後続をさらに突き放す快勝だった。マイルですんなり先行できるスピード、馬群に入った経験、仕掛けに対する鋭い反応。どれをとっても文句なしの満点だ。 父Palace Maliceはあまり聞きなじみがないかもしれないが、実は日本にも縁がある。現役時代はダート12FのGⅠ・ベルモントSを制した馬で、その母はのちに日本で供用されるパレスルーマー。今年の天皇賞(春)を制したジャスティンパレス、ステイヤーズSと阪神大賞典で2着があるアイアンバローズの兄がPalace Maliceだ。そして、母インディアマントゥアナはアメリカの芝11FでGⅢ・レッドカーペットHを勝っている。 これを踏まえると、血統的にはむしろマイルが距離不足とすら感じさせる。この後は朝日杯FSに進むのかもしれないが、自身が1800mの新馬戦を完勝した点も含め、ホープフルSでも面白いのではないか。そして、来年は日本ダービー戦線でも楽しみがある。