宝塚退団から1年 男役トップスター・龍真咲が妖精になって渋谷に舞い降りた
L.O.T.CはLanding On The Cityの略とのことだ。その通り、渋谷の街に妖精が舞い降りたイメージのアルバム・ジャケットも注目を集めている。撮影は、浜崎あゆみやレディー・ガガ、松任谷由実、安室奈美恵など多くのアーティストを撮影したことで知られる写真家レスリー・キーだ。 「朝早く撮ったんですよ。それでも結構、人がいて、皆さん遠巻きに見ていました」 デニムファッションに身を包んだ龍のポージングは女性的でやわらかく美しく、1年前まで男役トップスターだったとは思えないほどだ。通常、退団した元男役が女性としての表現をするためにはある程度の時間を要するものだが、龍は退団後わずか3カ月後の宝塚エリザベート20周年記念のガラコンサートでエリザベートを演じ、ファンを驚かせた。 奇しくも8月26、27日のコンサート会場は、そのときと同じBunkamuraオーチャードホールだ。 「大きな劇場なので緊張しますが、それよりもそこでコンサートができるという楽しみのほうが大きいですね。皆さまの前で歌って踊って……動いている私をお見せする機会があまりないので、宝塚退団後にこんなに大きなコンサートができるのは嬉しく思います。退団後、初めてとなる部分をどう表現できるか、未知の領域への挑戦になりますが、お越しくださった皆さまと一緒に、思いきり歌って弾けたい」 宝塚入団以前、幼いころから歌が好きだったという龍。 「歌っていきたいという気持ちはずっと持っていた気持ちなので、今後も歌うことは大切に続けていきたいですね。いま、このときが大事。しっかり結果を残して表現していきたい。今回のアルバムもコンサートも、宝塚時代を知らずに初めてくるという方にもぜひ楽しんでいただきたいと思います」 宝塚で最後に演じた役は、織田信長だった。それから約1年、妖精になって渋谷の街へ舞い降りてきた龍真咲。これからどこへ歩いていくのか、楽しみだ。 (取材・文・撮影:志和浩司)