ラグビー日本代表、注目を集めている2人が口を開く SH斎藤直人、SO松田力也の移籍先はどこへ…ポイントに挙げた“成長”“伸び率”
ラグビー日本代表の宮崎合宿で、11日の練習の後、注目を集めている2人が自身の今後について口を開いた。 一人はエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチが提唱する超速ラグビーの起点としてゲームをリードしたSH斎藤直人(26)。早大を卒業後、4季プレーした東京SGを今春で退団した。 「一番は自分が成長したいということです。次のW杯には、あの大舞台で力を発揮できるよう、もっと自信を持って乗り込まなければいけない。必要なのは高いプレッシャーの中での経験。成長するには居心地がいいところを離れなければいけないと思った」 もう一人は昨年のW杯で4試合すべてに先発司令塔を務めたSO松田力也(30)。松田もリーグワン終了後、8季在籍した埼玉からの退団を発表した。松田は宮崎合宿では体調不良で練習から離れていたが、11日はグラウンドに出て、U―20を相手に行った実戦練習を見学。練習後「もう大丈夫です。木曜日(13日)から練習に復帰します」と話し、移籍を決断した理由を明かした。 「埼玉のラグビーも大好きだけれど、違うラグビーも経験してみたい。今回ジェイミー(ジョセフHC)からエディー(ジョーンズHC)に変わってまだ数日でも、ボールのもらい方、放り方も違って、違うラグビーをする新鮮さを感じた」 2人に共通していたのは、慣れ親しんだ環境からあえて離れようとの思いだ。慣れた環境にいれば、周囲は自分の意図を無言でも感じ取ってくれる。体のケアや余暇の過ごし方も快適なルーティンが確立している。だが居心地良い環境に慣れると、違う環境に放り込まれたときに力を発揮できなくなることも多い。それでは、海外で行われる大会で活躍するのは難しいと、昨秋のW杯で2人は悟った。 2人には国内外の複数チームからオファーが届いているようだ。斎藤は「まだ決まっていない」と白紙を強調。松田は19年W杯のあと海外移籍を目指しながらコロナで断念した過去があるが、今回は自身の年齢等も考え「国内で埼玉に勝つことを目標にした方が、自分の伸び率は大きいかな」と国内に新天地を求める可能性を示唆したが、ともに「ここでは日本代表の活動に集中している」とキッパリ。 日本代表の成績や2人の活躍ぶりによっては新たに獲得へ動くチームが現れるかもしれない。22日のイングランド戦から始まる日本代表の国際試合シリーズのみどころはピッチの外にもありそうだ。 ▼大友信彦 スポーツライター、1987年から東京中日スポーツ・中日スポーツでラグビーを担当。W杯は91年の第2回大会から8大会連続取材中。著書に「エディー・ジョーンズの監督学」「釜石の夢~被災地でワールドカップを」「オールブラックスが強い理由」「勇気と献身」など。
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