鈴木知事、初の議会で所信表明「均衡ある発展へ県民と力合わせる」
鈴木康友知事は19日、就任後初となる静岡県議会に臨み、所信を表明した。冒頭、知事選を振り返って県東部、中部、西部の魅力を語り、「各地域の魅力や特性を生かし、県全体の均衡ある発展に向けて県民と力を合わせ、オール静岡で幸福度日本一の県を実現する」と述べた。県議会や市町長の意見を丁寧に聞く姿勢を示した上で「スピード感をもって課題解決に取り組む。県を一段高みに導くため全力を傾注する」と強調し、知事選で表面化した対立の修復に決意をにじませた。県政運営を企業経営と重ね、県政の「経営方針」を打ち出した。 県政運営の基本的な考え方として、健全財政を維持し、将来を見据えた施策に取り組む▽最少経費で最大の効果を上げる▽前例踏襲にとらわれず挑戦する▽スピード感を大切にする▽人財を育て、リーダーとして範を示すーの五つの「経営方針」を示した。 リニア中央新幹線については、整備推進の立場を示しつつ、大井川の水資源、南アルプスの自然環境の両立を堅持するとの考えをあらためて表明した。一方で「国の関与のもと、課題解決に向けて流域市町と連携し、JR東海との対話をスピード感をもって進める」「東海道新幹線の利便性向上をはじめ、本県のメリットの最大化に向けて話を進める」などと、川勝県政との違いを見せた。空港新駅については「実現すれば経済や観光など多岐にわたって非常に効果がある」との認識を示しながら「リニア開業後の長期的視野のもと検討する」とした。 浜松市の新野球場整備に関し「県西部のスポーツ拠点にふさわしく、多くの県民に愛される施設となるよう精力的に検討を進める」と意欲を示した。まちづくりやにぎわい創出に向け、新たに設置する協議会などで、県と浜松市の役割分担や民間活力の活用など公園を含む全体の利活用構想を検討する方針。 産業政策では、スタートアップの誘致や創出に加え、産業集積を図るために「企業立地件数日本一を目指し、関連施策を充実させる」として規制緩和による産業用地確保や、近隣県と連携した広域観光を進める意向を示した。
静岡新聞社