プロアマ問わずの文学の祭典「文学フリマ」の成長続く……短歌や俳句の文芸サークル、老舗文芸誌の参加も
出版社のブースが増えているのも近年の特徴だ。老舗文芸誌「文学界」も今回初めて参加した。文学界新人賞の受賞者インタビューなどを掲載した小冊子、作家のサイン入りバックナンバーなどを販売した。同編集部は「普段は読者と直接交流することがあまりないので、新鮮で楽しかった」と話す。
来場1万人超
文学フリマ事務局によると、ここ数年で東京開催の来場者数は1万人を超えており、経費の増大を受け、5月開催は一般入場を有料化(1000円)した。有料化により、来場者数が減少するのではないかとの懸念もあったが、結果は前回とほぼ横ばいだった。望月倫彦代表(43)は「前回とほぼ遜色ない数字が出てホッとしている」と振り返った。ある出店者は「(入場料がかかる分)もとを取って帰ろうという雰囲気を感じた」と話す。
増え続ける来場者数に対応するため、12月の東京開催は東京ビッグサイトに会場を移すという。7月には四国で初開催となる文学フリマ香川も予定している。望月代表は「全国で文学フリマを安定して続けていくことで、文学の世界への人材輩出や、本を読むという文化が広がるなど、良い影響が出てほしい」と語る。
日本の文学はかつて「白樺」をはじめとする同人誌から多くの作家が出発した。文学を楽しむ人々が集まる場所がどのような成長を続けていくか、今後見守る楽しみが一層広がりそうだ。