テレビが選挙報道をやめた結果「起きた大逆転」 玉木雄一郎氏は「YouTube」をどう使ったのか
今回の選挙では、選挙区の大きな変更があり、私が住む大田区は目黒区と合わせて東京26区になった。候補者は1人を除いて4人が新人。誰が誰だか、ポスター以上の情報がほとんどない。選挙公報は直前まで来ないし、NHKの政見放送は自分の選挙区をいつやるのかわからない。こんなことでは投票できない。 だがReHacQのおかげで4人の新人がどんな人物か、どんな考えを持つかがよくわかった。私の投票に一番役立ったのは、YouTubeだったのだ。
記事(総選挙を左右する? 「テレビよりYouTube」戦略)でも書いたが、テレビ局は公示日を過ぎると途端に選挙報道を一斉に控える。さてこれからどの党に入れようか、自分の選挙区はどうなっているのか、テレビを見ていてもほとんど役に立たないのだ。都知事選と今回の衆議院選挙によって、もはや選挙のインフラはYouTubeになったと言っていい。私にとってもYouTubeのおかげで胸を張って投票できたし、結果を見てもYouTubeによって石丸伸二氏は2位になり、国民民主が大幅に議席を伸ばした。政治を動かすのはテレビではなくYouTubeになった。
私もコメント出演した11月2日放送のTBS「報道特集」で、選挙報道が減っていることについて特集が組まれていた。 ■このままでは選挙報道はYouTubeにとってかわられる なぜテレビ局が選挙報道を控えるようになったかをテレビが報じたのは初めてだと思う。簡単にいうと、安倍政権がクレームをつけて萎縮したのだ。2014年に当時の自民党副幹事長・萩生田光一氏の名で選挙報道の公平を求め、「出演者の発言回数や時間」も同じにする旨の要望を各キー局に書面で送った。
こういう「量的公平」は公平性の一部でしかない、とかなんとか猛反論すべきなのに、なし崩し的に萎縮していった。その結果、量的公平どころか、選挙報道そのものを公示日以降控えるのが当たり前になってしまったのだ。細かくチェックされてつべこべ言われるのが嫌になったのだろう。ただ、各局で「今回の選挙報道は○時間に控えるように」などとお達しが出るわけでもないらしい。互いに顔を見合わせながら、もやもや萎縮しただけだ。なんとも情けないことだ。