【いよいよ運命の日】トランプ前大統領は有罪か?評決不能か?有罪なら支持者の2割を失う可能性も
評決の大統領選挙に対する影響
前述のように、トランプ応援団であるMAGA(Make America Great Again: 米国を再び偉大にする)議員や知事が裁判所からトランプ擁護のメッセージを送ったが、米国民はこの裁判をどのようにみているのだろうか。 米クイニピアック大学(東部コネチカット州)の全国世論調査(24年5月22日発表)によれば、トランプ前大統領の口止め料を巡る裁判を37%が「大変深刻」、23%が「いくらか深刻」と捉えており、「深刻」の合計が6割に達した。 英誌エコノミストと世論調査会社ユーガブの全国共同世論調査(24年5月19~21日実施)では、「ドナルド・トランプに対する口止め料を巡る裁判でトランプは有罪になるべきか?」という質問に対して、45%が「はい」、38%が「いいえ」、17%が「分からない」と回答した。ところが、「有罪になると思うか?」と尋ねると、22%が「はい」、37%が「いいえ」、41%が「分からない」と答え、「はい」が23ポイントも下落した。12人の陪審員の中で、一人でも「反対」すれば、評決不能になり、トランプ前大統領は有罪を免れるので、トランプ有罪のハードルは高いと考えているのだろう。 しかし、不倫相手であった元ポルノ女優に対する口止め料を巡る業務記録改ざんで、トランプ前大統領に有罪評決が出た場合、有権者はどのような投票行動をとるのだろうか。 米クイニピアック大学が登録した有権者を対象に尋ねたところ、11%が「トランプに投票する可能性が高まる」、21%が「トランプに投票する可能性が下がる」、65%が「変わらない」と回答した。約2割がトランプ前大統領から逃げる可能性があることが分かった。バイデン大統領との選挙戦が接戦になれば、トランプ氏にとってこの2割は致命的になる公算が高い。 米ABCニュースと調査会社IPSOSの全国共同世論調査(24年4月30日発表)では、11月5日にトランプ前大統領に投票すると回答した有権者の80%が、口止め料を巡る裁判で有罪評決が出ても「継続してトランプ支持」、16%が「トランプ支持を再考する」、4%が「トランプをもはや支持しない」と答えた。「再考」と「不支持」を合わせると、20%になり、トランプ前大統領が有罪になった場合、同前大統領は最高で支持者の2割の票を失う可能性がある。 さらに、ロイターとIPSOSの全国共同論調査(24年4月4~8日実施)をみてみると、これまでに刑事訴追された4件の裁判で1件でも有罪評決が出れば、無党派層の6割が「トランプ前大統領に投票しない」と答えた。この数字もトランプ氏にかなりの打撃を与えることになる。