乗り物1回10円⁉ 日本一安い遊園地「群馬るなぱあく」、復活劇を支えた名物園長の手腕
群馬県前橋市にある「前橋市中央児童遊園 るなぱあく」。昭和を感じる年代ものの遊具が並ぶ小さな遊園地は、開園して約70年になります。 少子化による入園者減少に加えて、利用料が1回10円、50円という破格の安さということもあり、長年、赤字体質だったるなぱあくが、「日本一安い遊園地」として話題になっています。 園長就任2年目で黒字化を実現したのは園長の原澤宏治さんです。
【原澤宏治 るなぱあく園長】 1967年生まれ。 東和銀行で法人渉外担当を経て、2002年に経営コンサルタントとして独立。 2015年に前橋市が運営する児童遊園「るなぱあく」の園長に就任。 赤字続きだったるなぱあくを斬新なアイデアで経営改革し利用者数が激増、黒字化に成功する。
昭和の面影を残す「日本一安い」遊園地
群馬県前橋市にある小さな遊園地「るなぱあく」は、入園料無料。8台の大型遊具は1回50円、11台の小型遊具はなんと10円。「日本一安い遊園地」として、前橋市民から愛される存在になっています。園長を務める原澤宏治さんは話します。 原澤「入園が無料のため、以前は乗り物の利用回数しかデータがなく、正確な数字はわからないのですが、赤字の頃の利用者数は年間120万人台程度。2015年にオリエンタル群馬が指定管理業者になってから、目に見えて入園者が増加に転じました。2022年度は新型コロナによる入場制限を行っていましたが、それでも利用者は年間で約150万人でした」 るなぱあくのオープンは1954年(昭和29年)。前橋市が市民の憩いの場として、公園に遊具を設置してオープンしました。今も園内には、昭和の香りを漂わせるレトロな遊具が並び、なかでも電動木馬は現在稼働する日本最古といわれ、国登録有形文化財にも指定されています。
そんなレトロさを全面に押し出したキャッチフレーズは「にほんいち なつかしい ゆうえんち」。遊具も料金もまるで昭和にタイムスリップしたかのような空間です。 サッカー場2面ほど(約8800平方メートル)の園内は、夏休みや週末ともなると、子どもを連れた家族づれで混み合います。前橋市民はもちろん、群馬県内、さらには県外から訪れる人も多く、多いときで県外からの来場者が4割を占めることもあるとか。 今でこそ、前橋市を代表する人気スポットとしてにぎわいを見せるるなぱあくですが、以前は「古くさい遊園地」として忘れかけられた存在でした。 テコ入れを図ったのが、2015年にオリエンタル群馬が民間指定管理業者の委託を受けると同時に園長となった原澤さんです。 原澤「コロナ禍前は繁忙期ともなると、乗り物に並ぶ長蛇の列で園内に人でひしめき合うほど。高台から見下ろすと、園内の地面が見えないくらい人でいっぱいになることも珍しくありませんでした。今は、コロナ対策で1日1800人までに入園制限しているので(2022年末取材時)、そこまで混み合うことはありませんが、それでも週末や長期休みの時期はかなり混雑しています」