大石知事の政治資金問題で、傍聴席との間をついたてで仕切り、元監査人が委員の質問に答えた県議会総務委員会の集中審査＝県議会棟

　大石賢吾知事の政治資金問題を巡り、県議会の総務、観光生活建設両委員会は３０日、真相究明を図る集中審査を開いた。総務委は２０２２年知事選で大石氏が自らの後援会に２千万円を「架空貸し付け」したとされる疑惑を審査。参考人招致された後援会の元監査人は「意図的な架空貸し付け」と指摘し、大石氏が後援会から受け取った返済金を選挙活動の借金返済に充てようとしたと証言した。一方、大石氏は架空貸し付けの意図はないと反論。双方に食い違いがあり、総務委は集中審査を継続する。 　総務委の集中審査では、ついたてを設置して元監査人から意見聴取。その後、大石氏に内容を確認した。県議会事務局によると知事の常任委員会出席は１９８６年以来３８年ぶり。 　医師の大石氏は知事選時に県医師信用組合から選挙活動費として２千万円を借り、知事選の選挙運動費用収支報告書の収入欄に「自己資金」と記入。一方、後援会の政治資金収支報告書にも「貸し付け」と記載し、返済金の一部として利息を含む約６５５万円を受け取った。しかし、後援会の銀行口座に２千万円の入金記録がなく、大石氏は７月に同報告書の記載は「二重計上」と誤りを認めた。 　集中審査で元監査人は１月に後援会関係者と連絡を取り、６月下旬まで外部監査を担ったと説明。監査の過程で得た情報として、大石氏が自らの選挙コンサルタントに相談し「自己資金の２千万円を返してもらおうとした」と主張した。 　これに対し、大石氏は「公務多忙で内容確認が不十分だった」と釈明。同組合への借金返済に充てる目的は認めたが、会計処理の誤りで架空貸し付けの意図はなかったと反論した。選挙コンサルから「後援会に貸し付ける会計処理は可能」「違法性はない」といった助言を受けたとした。 　総務委は、知事選で医療団体の寄付計２８６万円が自民党支部などを経由して大石氏側に流れた脱法的な「迂回（うかい）献金」疑惑も審査。元監査人は大石氏から聞いた話やメールのやりとりなどを根拠に「知事と私は迂回寄付だという共通認識があった」と発言した。 　一方、大石氏は「当時、（迂回とされる）資金移動の事実を知らなかった」と改めて強調。「（医療関係者に寄付を呼びかけた）県医師連盟から寄付は政党の政治活動を応援するためだったと聞いている」と従来の主張を繰り返した。