日銀の利上げ1年間で最大0.25%か、緩和的政策続く-全銀協会長
(ブルームバーグ): 全国銀行協会の福留朗裕(三井住友銀行頭取)新会長は日本銀行による金融政策運営について、しばらくは緩和的な状態が続くとみている。その上で、政策金利の引き上げは、今後1年間で「あったとしても0.25%程度まで」との見通しを明らかにした。
1日付で会長に就任した福留氏がブルームバーグとのインタビューで述べた。足元の国内経済情勢を鑑みて、政策金利の水準が「0.5%に行くほど日本の潜在成長率はまだ強くないと思う」とも指摘した。
日銀は3月19日の金融政策決定会合で17年ぶりの利上げを決定。金融機関が日銀に預ける当座預金のマイナス金利を解除し、短期金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を0-0.1%に設定した。3月29日時点の同金利(加重平均、速報値)は0.074%。金利が上昇すれば銀行は貸出金利ざやの拡大などが期待できる。
福留氏は日銀の政策転換について、銀行業界にとって「非常にポジティブな話。中長期的には投資は良いイールドでできるし、利ざやは改善方向だ」と歓迎する。3メガバンクは政策金利がゼロ%の場合、年間の資金利益の押し上げ効果が350億-450億円程度あると見込むが、金利動向次第でさらに上振れる可能性もある。
多くの銀行は政策金利に連動する短期プライムレート(短プラ)を住宅ローン金利の基準としており、特に変動金利型では契約金利の上昇要因となる。ただ、福留氏は「影響は極めて限定的だ」と述べた。今の短期金利の水準や過去の短プラの変更例から、主要行の短プラ引き上げが、すぐに行われることはないとみているからだ。
米中リスク
世界の経済・政治情勢について福留氏は「米国経済で一番のリスクはインフレの再燃だ」と指摘。仮に米大統領選挙でトランプ前大統領が当選し、関税や移民政策で掲げる主張を実行すれば、米国のインフレ要因になるとして「米長期金利が上がるのは個人的に思っている最悪のシナリオだ」と述べた。